1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560218
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
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Keywords | 水産無脊椎動物 / 海綿動物 / 抗炎症剤 / ホスホリパ-ゼA_2 / 酵素阻害 / リン脂質 / 医薬素材 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,伊豆半島,八丈島,薩南諸島,および四国沿岸で海綿,腔腸,外肛および原素動物61種を採集し,常法に従って水溶性と脂溶性画分を調製した。各画分についてブタ膵臓由来のホスホリパ-ゼA_2に対する阻害活性を調べたところ,海綿24種(水溶性8種,脂溶性23種),ソフトコ-ラル4種(脂溶性のみ),コケムシ2種と群体ホヤ1種の脂溶性画分にそれぞれ活性が認められた。これまでコケムシやホヤからは,抗炎症作用をもつ化合物の報告はないので,新しい構造を有する活性物質が得られるものと期待される。なお,前年度に続き,海綿に活性種の出現頻度が高かったが,抗菌・抗カビあるいは抗腫瘍活性をもつ化合物と同様に,海綿な抗炎症剤探索のタ-ゲットとして最も適していることが改めて認識された。 次に,上記スクリ-ニングで脂溶性画分に顕著な活性が認められた八丈島産の濃褐色海綿(未同定)から,活性物質の分離と同定を試みた。すなわち,凍結試料1kgをメタノ-ルで熱浸して得られた抽出液を濃縮後,エ-テルで抽出した。エ-テル層をクロロホルム-メタノ-ル素を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィ-で分画した。各画分を薄層クロマトグラフィ-でモニタ-しながら活性を調べたところ,リン脂質に相当する部分に活性が認められた。そこで,薄弾クロマトグラフィ-上での挙動,呈色反応などを検討するとともに,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノ-ルアミンなどの代表的なリン脂質の酵素阻害活性を調べた結果,本海綿に含まれるホスホリパ-ゼA_2阻害物質はリン脂質であると結論した。
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Research Products
(1 results)