1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560221
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
小泉 千秋 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017045)
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Keywords | イワシ脂質 / 脂質の酸化速度 / α-トコフェロ-ル / phosphatidylethanolamine / 相乗剤 |
Research Abstract |
イワシヤサバに含まれる脂質の酸化速度は、皮で最も大きく、普通肉で最も小さいといわれているので、まずその理由を明らかにするためマイワシおよびマサバについて普通肉、血合肉、皮(皮下脂肪層を含む)および内蔵から抽出した全脂質(TL)の自動酸化速度を比較した。すなち、各脂質の一定量をバイアルビンに入れ、これを37℃の恒温器中に放置して経日的に酸素吸収量をガスクロマト法により測定し、誘導機関(IP)を求めた。また、供試脂質について脂肪酸組成、極性脂質区(PL)および非極性脂質区(NL)の脂質クラス組成、α-トコフェロ-ル含量などを分析した。その結果、これらの脂質の自動酸化には主としてα-トコフェロ-ルが影響し、脂肪酸組成はほとんど関与していないものと推定された。すなわち、α-トコフェロ-ルをほとんど含んでいない脂質は、抽出した魚の組織に関係なくIPが短く、一方皮脂質でもα-トコフェロ-ル含量が高い場合には普通肉脂質と同様にIPは長かった。次に、マイワシTLとNLの自動酸化速度を比較するとNLの方が大きかった。このことは、魚油の自動酸化速度にリン脂質が影響していることを示すものと考えた。そこで、マイワシNL(またはtrilinolein(Tri-Le)の自動酸化速度に及ぼすマイワシPL、phosphatidylcholine(PC)およびphosphatidylethanolamine(PE)、さらにはdipalmitoPCおよびPEの影響を検討した。その結果、1.PCおよびPE自体はマイワシNLに対して抗酸化性を示さない、2.α-トコフェロ-ルの共存下ではPEは相乗剤として作用するが、PCは作用しない、3.NLの酸化に対してPEがα-トコフェロ-ルの相乗剤として作用するためには、PEのアシル基の不飽和度がNLのアシル基のそれとぼぼ同様かあるいは小さい必要があり、PEのアシル基の不飽和度が大きい場合(例えば、Tri-LeにイワシPEを添加した場合)にはPEはNLの酸化を促進するなどのことが判明した。
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