1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560221
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
小泉 千秋 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017045)
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Keywords | 脂貭酸化 / 加熱処理 / ホスファチジルエタノ-ルアミン / アシル基の不飽和度 / 誘導期 |
Research Abstract |
マイワシから抽出した脂貭は,窒素気流下で100℃,30min程度の加熱処理を受けると,その後の酸化開始が著しく遅れることを見出した。そこで先ず,マイワシから抽出した全脂貭(TL)を極性脂貭(PL)と非極性脂貭(NL)とに分画し,PLはさらにホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノ-ルアミン(PE)に分画した。そして,このNLにPL,PCまたはPEをそれぞれ単独で添加してから窒素気流下で100℃,30min加熱処理後37℃に放置し,経日的に酸素吸収量を測定して誘導期(IP)を求め,IPに及ぼす加熱処理の影響を調べた。また,同様な実験を各脂貭をそれぞれ単独で加熱処理してから混合した場合についても行った。その結果,加熱処理に伴うIPの延長は,NLとPLとを混合してから加熱処理することにより起こり,NLとPLをそれぞれ単独で加熱処理してから混合した場合には起こらなかった。また,このIPの延長にはPL中のPEが関与し,PCやαートコフェロ-ルは関与しないことが判明した。そらに,マイワシのTLに代えて合成トリグリセリドであるトリリノレインを,またマイワシのPEに代えて0ーホスホエタノ-ルアミンを用いて同様な実験をくり返えした。これらの結果を総合して,マイワシTLの加熱処理に伴うIPの延長にはNLのアシル基の不飽和度だけでなく,PEのアシル基も関与しているものと推定された。すなわち,加熱処理中にNLとPEとの間で相互作用が起こり,その結果ある種の抗酸化性物貭が生成するか,あるいは酸化安定性に影響するような何らかの変化がNLに起こるものと考えた。
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