1990 Fiscal Year Annual Research Report
食品の油焼け・プロスタグランジン様構造物質による赤変
Project/Area Number |
01560226
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 孝 九州大学, 農学部, 助教授 (10038292)
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Keywords | 食品の油焼け / 過酸化脂質 / 赤色色素 / 生成機構 / プロスタグランジン / アシノ酸 / 共役アルデヒド / 食品の変色 |
Research Abstract |
赤色色素の生成機構 1)ωー3系高度不飽和脂肪酸に由来する赤変前駆物質の一つである3ー(2ーethylー5ーhydroxyー3ーoxo)cyclopentylー2ーpropenalとアミノ酸(Gly,Ala,Val,Leu,Phe)とを反応させ、反応液をUVーVIS及び蛍光検出器を付した逆相ーHPLC(μーbondapak C18)で分析した。Gly,Alaでは1つ、その他のアミノ酸では2つの赤色物質ピ-ク(Amax515nm)が検出され、何れも溶出位置を異にし、生成した色素は単一ではなかった。また、蛍光物質(Ex360nm,Em 436nm)の同時検出を行ったところ、何れのアミノ酸由来の赤色物質も蛍光物質ピ-クとの溶出位置が異なり、赤色色素はシッフ塩基様構造を持たないと推測された。 2)DEAEーセファデックス(Aー25)でGly由来の赤色色素を分離しIR分析すると前駆物質が有する1690、1740cm^<-1>の2つのカルボニル吸収は消失し1600cm^<-1>域に大きな吸収が出現した。 3)赤色色素をHPLCを用いて分取後放置すると、色素の退色と蛍光の増加が観察された。4)赤変前駆物質にGlyメチルエステルを反応させても殆ど赤変せずカルボキシル基の関与は必須であった。また、第一アミンであるメチルアミンやヘキシルアミンを反応させると何れも脂溶性の黄色色素(Amax 440nm)を生成した。 すなはち、本研究課題の赤色色素は既に研究されているアスコルビン酸とアミノ酸との反応によって生成する赤色色素と異なり、アミノ酸は脱アミノされず結合していると推測される。また赤色色素は蛍光を発しないのでシッフ塩基構造を持たず、食品の油焼けに見られるアミノーカルボニル反応生成物とも考えられない。しかし、赤色色素は不安定で室温においても徐々に退色し、蛍光性のシッフ塩基を持つ化合物に変わり、最終的には褐色色素を生成すると考えられる。赤色色素の構造はまだ不明で、現在、FABーMS、NMR分析の準備を進めている。
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Research Products
(1 results)