1990 Fiscal Year Annual Research Report
畜産をめぐる水利システムの構造的分析及び類型化に関する研究
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01560255
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大久保 博 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (80203735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 栄吉 北里大学, 獣医畜産学部, 助手 (40196457)
堤 聰 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40092275)
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Keywords | 畜産用水 / 需要変動 / 水源転換 / 事例調査 / 畜産排水 / アンケ-ト調査 / 調整施設 / 水源 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、畜産用水の置かれた状況をアンケ-ト調査によって把握し、需要の特徴を実験的に考察した。本年度は、(1)畜産用水の水源について更にその特質を明らかにするために、T市の簡易水道事業地区において調査を行った。その結果、簡易水道事業を契機にしてそれまでの畜産用水の水源が新たに変更される場合と、そうでない場合があることが判明し、畜産用水の水源の特質を水源の転換を通して捉えることができると判断された。その内容の要点は以下の通りである。水源転換の形態は、自家井戸および共同井戸から水道および自家井戸への転換である。簡易水道設置以前では回答が得られた16戸中11戸の農家で畜産と家庭用とは同一の水源であった。設置後は6戸の農家が両用途共に水道に転換している。水道へ水源転換がなされた場合には、公的計画の中で畜産の用途が生活用水と分化して現れるが、転換をした農家の転換理由には経済的な動機は見られなかった。一方、11戸中水源を転換しなかった5戸の農家でその理由を見ると、経済的な理由や従来からの水源の機能を評価していた。次に本年度の研究では、(2)畜産排水の実態について検討を行った。畜産排水についてはいくつかの形態があることがこれまでの研究で明らかにされているが、その中で調査の対象にしたのは、分離・希釈方式と非分離・希釈方式で排水の処理と利用を行っている農家である。両方式は、排水の希釈を行い利用するという点で水利に大きく係わっていた。検討の結果、排水の処理・利用システムでの貯留施設の容量決定手法と実態との相違点が明らかにされた。また舎内率は放牧可能時期に左右され、地域性が反映していることを指摘した。さらに、貯留施設は容量の決定に主眼がおかれ、腐熟処理の観点から適切な貯留槽の構造を決定するという観点の導入の確立がなされていないことが判明した。
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Research Products
(2 results)