1989 Fiscal Year Annual Research Report
遠赤外線によるもみの乾燥とその品質の評価および乾燥コストの試算に関する研究
Project/Area Number |
01560270
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
毛利 建太郎 岡山大学, 農学部, 助教授 (20081531)
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Keywords | 遠赤外線 / 籾乾燥 / 品質 / コスト |
Research Abstract |
近年、おいしい米が要求されるようになり米の品質が問題になってきている。従来からの灯油による熱風乾燥では乾燥時に品質の低下を招くおそれがある。そこで、本研究はその利用が注目されている遠赤外線を利用した籾の乾燥を試みてその可能性を確かめようとするものである。 1.単粒の籾と玄米の遠赤外線による乾燥実験 単粒の籾と玄米それぞれに熱電対を埋込んで遠赤外線を照射し、そのときの籾の表面温度を非接触温度計で測定し、これと内部温度との関係を調べた。その結果は籾の表面温度xと内部温度yとの関係が、初期水分22.6%の籾ではy=0.62x+8.6、同18%の籾ではy=0.587x+8.8と直線関係になることが確かめられた。玄米も同様の傾向を示し、遠赤外線が籾の内部まで浸透して内部温度が上昇していることが確かめられた。 2.循環式乾燥機による遠赤外線籾乾燥実験 灯油を燃料とする循環式乾燥機の灯油バ-ナとその付属部品を取り外し、遠赤外線ヒ-タを取付けた供試乾燥機によって、コンバインで収穫された籾を乾燥した。籾水分は単粒水分計で1時間ごとに測定し、乾燥能率として時間当たりの籾水分の減少から乾燥率を求めた。また、米の品質を表す食味は外部に依頼して研究を行った。 本年度は一回の実験であったが、遠赤外線による籾乾燥の乾減率は0.46%/hとなった。これは常温通風乾燥の約2.5倍の能率であり、一昼夜で籾水分を約10%減少させることができる値である。胴割れについては1000粒について調査した結果、遠赤外線による乾燥では重胴割れ率0.7%、軽胴割れ率13.9%となり、天日乾燥の重胴割れ率2.4%、軽胴割れ率25.6%より小さくなり米の品質上よい乾燥方法であると言える。さらに、遠赤外線で乾燥した籾の食味計による食味値は79と高い値が得られ、高品質に乾燥が仕上がったと考えることができる。 今後の問題としては次年度さらに繰返し実験を行って本年度の結果を検証するとともに、水分の高い籾についても乾燥実験を行いその可能性を検討する。さらに、電力量を計測しているので、乾燥コストの試算を行う予定である。
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