1989 Fiscal Year Annual Research Report
フィジオメカニックス理論に基づく植物細胞生長の直接制御
Project/Area Number |
01560272
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Research Institution | Ishikawa Agricultural College |
Principal Investigator |
村瀬 治比古 石川県農業短期大学, 農業工学科, 助教授 (20137243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶 敏 石川県農業短期大学, 農業工学科, 助手 (80177203)
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Keywords | ファジィ / 可能性線形回帰 / 画像処理 / 水ポテンシャル / 種子根伸長速度 |
Research Abstract |
植物細胞の伸長生長は細胞内の膨圧による塑性変形を起動力にして起きることが知られている。その膨圧のレベルは細胞内外の水ポテンシャルの差から決まる。したがって、細胞内外の水ポテンシャルの差の変化は膨圧変化となり、さらに膨圧変化は植物細胞の伸長生長速度の変化となる。すなわち、膨圧が小さくなれば生長速度は鈍化し、大きくなれば促進される。本研究においては植物細胞の生長に最も影響が大きいと考えられる熱力学的状態量として温度および水ポテンシャルを考えた。また、細胞生長速度とそれら状態量との関係をファジィ数理計画法を用いて可能性線形回帰モデルによって表すこととし、コシヒカリの種籾を供試して、その種子根伸長速度を状態量のファジィ線形回帰式で示す係数決定を行った。現象論的拡散モデルおよび有限要素モデルを用いて植物系の線形システム同定が可能であることは既に報告されているが、そこでは植物系に対して現代制御理論の状態方程式の係数決定が逆解析で推定できることを実験で示した。 本研究では現代制御理論で扱う観測方程式に相当する式を実験的に同定した。植物細胞生長の直接制御とは従来の環境制御ではなく植物システムを把握した上での環境制御であり、環境パラメ-タを植物システムの状態方程式の中に明確に位置づけた上でのシステム制御である。本研究は、植物システム制御への現代制御理論の適用の可能性を探る試みであると位置づけることができる。これまでの研究結果からはその適用が不可能であると結論付るデ-タは幸い得られていない。次式は今回の研究で得られたデ-タの内、10℃から30℃のもの全てを用いて推定したファジィ係数を可能性線形モデルである。 G=(1.373×10^<-5>、5.933×10^<-6>)T+(8.107×10^<-6>、9.414×10^<-7>)Ф G:根の伸長速度(mm/sec)、T:温度(℃)、Ф:水ポテンシャル(-bar)
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Research Products
(1 results)