1990 Fiscal Year Annual Research Report
生体制御機構における対向流輸送システムの機能形態学的研究
Project/Area Number |
01560286
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西田 隆雄 日本大学, 農獣医学部, 教授 (20023426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九郎丸 正道 東京大学, 農学部, 助教授 (00148636)
林 良博 東京大学, 農学部, 教授 (90092303)
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Keywords | 対向流輸送 / 精索 / 蔓状静脈叢 / 磁網 |
Research Abstract |
対向流輸送システムノ代表的なものとして、精索血管複合体および脳底血管複合体の動静脈間にみられる形態学的相互関係を検討し、次の結果をえた。 1.精索血管複合体の動静脈壁の疎性結合組織には、リンパ管と自由結合組織性細胞、すなわち肥満細胞とマクロファ-ジが多数存在している。これらの細胞は動静脈壁の透過性を増し、対向流輸送に重要な役割を果たしていると考えられる。 2.ツパイとリスの精索には動静脈吻合が認められ、その中膜の平滑筋細胞は分泌小胞を産生し、上皮様配列を示す。この構造は、ヒトの指頭の動脈吻合において、1877年に発見され、1902年に再確認されたHoyerーGrosserの器官に類似した構造である。本器官は動静脈吻合の血流を制御し、精索血管複合体における対向流輸送に関与していると考えられる。 3.ヤギの前硬膜上怪網には頚著脈小体様構造が認められ、その細胞の超微構造は、頚動脈小体のそれと一致した。この構造は本来の頚動脈小体の役割を補完しているものと考えられる。 4.硬膜上怪網の動脈内には孤立した神経節細胞が認められる。これらの神経節細胞は近位の滑車神経枝と連絡している。 5.脳底血管血管複合体の神経分布を明らかにするために、怪網の外側に接して走る三又神経(第V脳神経)と滑車神経(第IV脳神経)にHRPOを順行性に注入したところ、滑車神経に注入した場合のみ、動静脈壁に陽性神経線維と神経細胞体が認められた。しかしながら、これら神経要素の起源はなお不明である。
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[Publications] Rerkamnuaychoke,W.,Nishide,T.,Kurohmaru,M.and Hayashi,Y.: "Vascular mrphology of the golden hamster spermatic cord." Arch.Histol.Cytoi.,. 52. 183-190 (1989)
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[Publications] Rerkamnuaychoke,w.,Nishida,T.,Kurohmaru,M.and Hayashi,Y.: "Morphological studies on the vascular architecture in the mammalian spermatic cord." J.Vet.Med.Sci.
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[Publications] Rerkamnuaychoke,W.,Nishida,T.,Kurohmaru,M.and Hayashi,Y.: "Evidence for the direct connection(AーV shunt)between testicular artery and pampiniform plexus in the spermatic cord of the tree shrew." J.Anat.
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[Publications] Nishida,T.,Rerkamnuaychoke,w.,Osawa,K.and Hayashi,Y.: "Vascular morphology and its nerve supply of epidural rete mirabile in the goat and cattle." Anat.Histol.Embryol.