1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560294
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
芦沢 幸二 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60128353)
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Keywords | ニワトリ / 運動性 / ATP / ダイニンATPase / 温度 |
Research Abstract |
鶏精子は、正常体温である40℃付近で運動を停止し、温度を下げると可逆的に運動を再会することが知られている。本研究は、この不動化現象を解明するため、異なった温度条件下で、正常精子の運動性と代謝量との関係について検討するとともに、Triton除膜モデル精子を用いて、精子鞭毛の運動発現及び停止機構に及ぼす温度の影響について追求した。 その結果、30℃と40℃の温度条件下で15分ずつ交互に鶏の正常精子をインキュベ-ションすると、30℃では活発な運動を行っているのに対し、40℃では運動を停止していた。しかし、両温度区の酸素消費量には差異が認められなかった。一方、精子中のATPとADP濃度を測定したところ、40℃におけるATP濃度は30℃に比べて高く、ADP濃度は逆に30℃の方が高いため、40℃におけるATP/ADP比は、30℃の値の約2倍近くまで増加した。さらに、正常精子ばかりでなく、除膜モデル精子の場合においても、40℃では運動を停止し、30℃では回復するのが明らかになった。これらのことから、40℃における運動停止に精子の細胞膜は関与しておらず、鞭毛の軸糸(ダイニンATPase)そのものが関係していると推察された。 さらに、40℃で不動化を起こしている正常精子に2mMのカルシウムあるいはカフェインを添加すると、精子の運動停止は認められず、活発な運動を行っていた。しかし、これらの運動促進物質を除膜モデル精子に添加しても、その効果は認められなかった。したがって、これらの運動促進物質はダイニンATPaseに直接作用するのではなく、除膜によって溶出される物質を介して効果を示す可能性が示唆された。また、ダイニンATPase活性を高めるNaCl、KCl、NH_4clなどの1価の塩代物を除膜精子に添加すると、4℃でも運動することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)