1989 Fiscal Year Annual Research Report
ウシラクトフェリンと生体関連物質との相互作用の解明
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01560302
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
島崎 敬一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10091547)
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Keywords | ラクトフェリン / タンパク質・色素複合体 / ホエ-タンパク質 / 円偏向二色性スペクトル / 誘起コットン効果 |
Research Abstract |
補酵素NADなどのアナログ様物質と考えられている色素Cibacron Blue F3GAとウシラクトフェリンとの相互作用のメカニズムを明らかにする事が本研究の主要な目的である。 ラクトフェリン溶液とCibacron Blue F3GA色素溶液とを定量的に混合させる事により、両者の複合体を形成させた。ラクトフェリン-色素の複合体が形成された事は610nm近傍における可視部の吸収スペクトルの変化、および250〜400nmの波長範囲での円偏向二色性スペクトルの測定により確認された。特に円偏光二色性スペクトルにおいては、ラクトフェリンへの色素の結合によって誘起されたコットン効果が現れ、310nm近傍に正の極大を示す事が見出された。そこで、この誘起円偏光二色性スペクトルの強度の変化を指標としてラクトフェリン・色素複合体に関する解析を行った。その結果、ラクトフェリン1分子に対するCibacron Blue F3GA色素の飽和結合量は6モルである事が推定された。 次年度はこのラクトフェリン分子とリガンドとの結合部位の検索、およびラクトフェリンと色素との結合の生物学的な意味の解明を行う予定である。例えば、この様な生体関連物質のアナログ様物質とラクトフェリンが相互作用する事は、ラクトフェリンが体内において金属イオン以外にも何らかの運搬機能を担う物質である可能性を強く示唆しているものと思われる。
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