1990 Fiscal Year Annual Research Report
食肉の熟成による呈味向上に寄与するペプチド類の検索
Project/Area Number |
01560310
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡山 高秀 神戸大学, 農学部, 助教授 (30031230)
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Keywords | 食肉の熟成 / 呈味性ペプチド / 食肉中のペプチド類 |
Research Abstract |
今回、牛・豚・鶏3種食肉の熟成中に生じる呈味向上に寄与するペプチド類を検索する目的で、まず3種食肉の熟成中に生成するペプチド類の挙動につき検討を行った。 初年度(平成元年度)は豚肉の熟成により生成するペプチド類の挙動につき、分子量1万以下の成分をウルトラフィルトレ-ションシステムにより、分子量3,500以下、1,000以下、500以下に分画し、そのペプチド量と各画分を逆相クロマトグラフィ-により追究した。そこで、分子量3,500、1,000,500以下の画分中のペプチド量は熟成0日から6日まで直線的に増加した。クロマトグラムの結果、熟成に伴い幾つかの特徴的なピ-クが認められた。しかし、ウルトラフィルトレ-ションシステムによる分画は容易でなく、また逆相クロマトグラムの解析もかなり困難であった。 そこで、次年度(平成2年度)は牛・鶏試料を用いて熟成により生成するペプチド類の挙動を以下の方法で追究した。牛肉・鶏肉の各熟成試料から筋漿低分子画分とス-プ画分を得、各画分中のペプチド量、SDSーPAGE像さらにサイズ排除用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ-を行った。その結果、牛・鶏試料ともに熟成に伴い筋漿低分子画分およびス-プ画分中のペプチド量は増加し、特に牛肉のス-プ画分において顕著に増加した。同時に各ス-プ画分の呈味テストを行い、0日よりさらに熟成した試料においてより強い肉様呈味を感じた。SDSーPAGE像の変化からも熟成に伴い分子量1万以下の成分の増加を認めた。高速液体クロマトグラムの結果、牛肉の筋漿低分子画分試料において、熟成初期の最初に溶出するピ-ク1、2、3は熟成8日目にはほとんど消失した。これらのピ-クが直接呈味性と関与しているかは不明であるが、牛肉の呈味の完成は熟成の初期に終了するとの示唆もあり大変興味深い結果である。いずれにしても、今回の検討により呈味性に直接関与するペプチド類の検索は出来なかったが、食肉の熟成中に生成するペプチド類について多くの知見を得る事ができた。
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