1989 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍の血管構築と血管壁構造:樹脂鋳型標本の走査型電子顕微鏡による観察
Project/Area Number |
01560330
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
二宮 博義 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (00063967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 喜久美 麻布大学, 環境保健学部, 助手 (50154381)
岸川 正剛 麻布大学, 環境保健学部, 助教授 (10099377)
土屋 新男 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (60063947)
中村 経紀 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00063941)
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Keywords | 腫瘍血管 / 樹脂鋳型 / SEM観察 / 血管変性 / 血流動態 |
Research Abstract |
研究目的:腫瘍血管では血流の自動調節機能が欠如し、血圧上昇に伴い腫瘍内血流量が著しく増加する。この現象を応用して、昇圧剤であるangiotensin、noradrenalinなどを併用して腫瘍に制癌剤を集中的に到達させ治療効果を高めたり腫瘍の造影も行われている。この特異な血流動態は血管構築や血管壁構造に密接に関係していることは論を待たない。しかし、この腫瘍血管の構造的な特徴については十分な報告はなく不明の点が多い。当研究では、腫瘍血管の病理形態学的な特徴を詳細に観察し、腫瘍の血液循環の特性を明らかにすることを目的としている。研究方法:担癌動物-SD系ラット(雄、11週齢、20頭)の第4乳頭付近の皮下にMethylchoranthoreneを投与して線維肉腫を得る。ヌ-ドラット背部皮下にイヌ線維肉腫を移植する。腫瘍の径が20〜70mmになった時点で、エ-テル麻酔下で右心房より放血し、左心室よりリンゲル液で潅流後、アクリル樹脂を注入した。樹脂が硬化してから20%NaOHで組織を溶解して血管鋳型標本を得た。得られた標本を実態顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)で立体的に観察した。更に、別の担癌ラットを用意して通常の病理組織検査と透過型電子顕微鏡で腫瘍血管の壁構造も詳細に観察した。観察結果:組織所見-腫瘍血管壁構造では腫瘍近くあるいは腫瘍内の血管中膜を構成する平滑筋細胞に形質融解様変性が認められた。腫瘍を潤す毛細血管は一層の内皮細胞と周皮細胞で構成されており、血管壁には神経繊維は認められなかった。SEM所見-正常な血管系では血管の分枝部にintra-arterial cushion(数層の内膜で構成される括約機能があり血流の自動調節を行なう装置とされている)が認められるが、腫瘍血管にはこの括約構造は発達が悪いか欠如していた。毛細血管は細く(4〜6μm)密な血管網を構成していた。腫瘍血管系の特有の血流動態はこうした腫瘍血管の構造は深く関わっているものと考えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Ninomiya,T.Inomata,T.Nakamura,I.Niizumz,K.Oqihara and T.Tsuchiya: "Vascular Architecture of 3-Methyl Choranthreme-induced Rat Fibro sarcoma Demonstrated by Scanning Electron Microscopy" ComparativePatholopy(USA).
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[Publications] H.Ninomiya,T.Inomata,T.Nakamura,I.Niizumz,K.Oqihara and T.Tsuchiya: "Vascular Pattern of Dog Squamous Epithelial CancerTramsplantel in Nude Rats:Scanning Electron Microscopy of Microcorrosion Casts" Experimental Animals(Japan).