1990 Fiscal Year Annual Research Report
胎児神経細胞におけるシナプス小胞特異蛋白の発現と局在
Project/Area Number |
01570026
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Research Institution | Chiba University, School of Medicine |
Principal Investigator |
門田 朋子 千葉大学, 医学部, 助教授 (00089864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅敏 国立精神, 神経センター・国府台病院, 厚生技官 (20171572)
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Keywords | シナプス小胞 / シナプトファイシン / 82k蛋白 / モノクロ-ナル抗体 / シナプス後部濃物質 / 免疫組織化学 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
1.シナプス後部濃物質特異蛋白,82K蛋白の特質と局在。 昨年度同定されたシナプス後部濃物質(PSD)特異蛋白,82K蛋白について更に検索を進めた。シスプス結合部(SJC)粗分画とPSD分画を調製。これとモノクロ-ン抗体SJー8を用いてイミュノブロットを行った。SJC分画では82KDaに一致して一本の反応帯が認められるが,PSD分画ではこれが消失していた。他の研究者らの報告でもPSD分画には82K蛋白に相当する蛋白は見出されていない。上の成績と昨年度の免疫電顕の結果を併せて考えると,82K蛋白はPSDに高濃度に存在するが,膜可溶化操作などにより乗離し易い蛋白であろうと考えられる。82K蛋白の細胞内局在,生化学特質について更に検索中である。 2.ラット小脳皮質におけるシナプスファイシンの発現 生直後のラット小脳皮質においてシナプス小胞膜特異蛋白,シナプトファイシンがどのように発現してくるかを免疫組織化学的に検索した。生直後〜3日までは反応陰性であるが,5日目よりプルキンエ細胞周囲,分子層に小点状の陽性反応が認められるようになり,7日以後これが急増した。顆粒層における反応は2週以後は成獣と同様の反応分布を示すようになった。これらの陽性反応は小脳皮質におけるシナプス形成を反映しているものと考えられる。この時期に先行してシナプトファイシンが大量に細胞体から軸索を経て神経終末に運ばれる時期が存在する。この時期に焦点を合わせて,シナプトファイシン輸送の役目を担う膜面はどのようなものかを免疫電顕的手法により検索中である。 3.神経細胞突起伸長因子とその作用機序 PCー12細胞株に対する突起伸長因子として最近報告されたプロテア-ゼ阻害剤の作用機序について,免疫組織化学,免疫電顕的手法により検索中である。
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[Publications] 門田 朋子: "シナプトファイシン" 生体の科学. 41. 349-350 (1990)
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[Publications] 門田 朋子: "神経伝達時におけるシナプス小胞の動態" 日本電子顕微鏡. 21. 103-113 (1990)
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[Publications] Tomoko Kadota: "Localization of a 82 KDa protein in postsynaptic density." Neuroscience Research.