1989 Fiscal Year Annual Research Report
みみずより抽出された線溶酵素の化学的性状とその応用に関する研究
Project/Area Number |
01570047
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
美原 恒 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (20030843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 悦男 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30220627)
丸山 真杉 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (40173968)
津島 弘文 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (80127670)
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Keywords | みみず / 血栓溶解作用 / 線溶活性作用 / 血小板凝集抑制 |
Research Abstract |
みみずの凍結乾燥粉末より種々の生化学的手法を用い線溶活性をもつ酵素を抽出した結果、大きく分けて3種類の化学的性質の異なる分画が得られた。その各分画につき基質特異性や各種インヒビタ-による抑制効果について調べた結果、第1の分画(I分画)はキモトリプシン様の性質を持ち、第3の分画(III分画)はトリプシン様の性質であった。その間に分画された第2の分画(II分画)はトリプシン、キモトリプシン様酵素とも異なり、またエラスタ-ゼとも異なる既知の物質にない性質を有していた。これらをさらに精製した結果、I分画はさらに3分画あり、III分画は2分画あり、II分画はそれ以上分画出来なかった。これらの合計6分画は何れもSDS-PAGEにて一本のバンドを示した。さらに、それぞれのアミノ酸組成を調べた結果、何れもかなり類似したアミノ酸組成ではあるが、既知の何れのセリン酵素とも異なっていることが明らかとなった。 そこで、これらの線溶活性をもつ凍結乾燥粉末をラットに経口投与した結果、ラットの血中線溶が上昇することが確認された。さらにイヌの後肢静脈に人工的にフィブリン塞栓を作成し、この凍結乾燥粉末を経口投与した場合を、既に血栓溶解剤として市販されているウロキナ-ゼの静脈内投与の効果と、血管造影を行ないながら比較検討した。その結果、みみず乾燥粉末の経口投与の方が明らかにフィブリン塊の溶解が早く起こることが判明した。これらの結果は今後ヒトへの経口投与により血栓溶解剤としての利用が可能であることを示した。 さらに、これらの線溶酵素活性をもつ分画の他に、みみずの乾燥粉末の水溶液に血栓形成を抑制する上で重要な血小板凝集をも抑制する作用のあることが示唆され、このみみず乾燥粉末のもつ血小板凝集作用を示す物質についてさらに追究する必要が出てきた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Mihara,T.Yoneta,H.Sumi,M.Soeda and M.Maruyama: "A possibility of earthworm powder as therapeutic agent for thrombosis." Thrombosis and Haemostasis. 62. 545 (1989)
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[Publications] S.Park,K.C.Kye,M.Lee,H.Sumi and H.Mihara: "Fibrinolytic activity of the earth worm extract." Thrombosis and Haemostasis. 62. 545 (1989)