1989 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物平滑筋におけるプロテインホスファタ-ゼの生理的役割
Project/Area Number |
01570062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 章 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50126869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 晋介 名古屋大学, 医学部, 助手 (30192230)
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
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Keywords | 平滑筋 / プロテインホスファタ-ゼ / 蛋白質、燐酸化 / オカダ酸 / 気管枝喘息 / イソプレナリン / カルシウム依存性カリウムチャネル / パッチクランプ方 |
Research Abstract |
本研究では、代表者が最初の強力かつ特異的なプロテインホスファタ-ゼ(PrPase)の阻害剤であることを発見した。海綿毒素オカダ酸の生理学的、生化学的な応用として、哺乳動物平滑筋組織におけるPrPaseの分布と役割を解明することを目指している。本年度の研究では次のような成果があった。 1.オカダ酸が各種PrPaseに対し著しく異った阻害活性を示すことを利用して、モルモット回腸・盲腸紐・腸管膜静脈などにおけるPrPase組成を調べた。1型PrPaseの内因性阻害因子であるインヒビタ-2も精製して用いた。その結果、こられの平滑筋組織に、オカダ酸とインヒビタ-2のどちらにも抑制される1型、どちらにも影響を受けない2C型、およびインヒビタ-2には阻害されないがオカダ酸には異なる濃度範囲で抑制される二種の2A型、以上合計四種類のPrPase活性が存在することがわかった。二種の2A型活性のうち、オカダ酸への親和性の比較的低い方のものだけは、細胞膜を海綿活性剤で破壊しスキンドファイバ-にしても65%以上が抽出されなかった。このような標本はMgAPT・カルモジュリン存在下でCa^<2+>濃度を高めることにより可逆的に収縮するが、それに伴って起こるミオシン軽鎖の燐酸化も完全に可逆的であることから、この酵素活性が収縮蛋白のような細胞内構造に結合して存在する可能性が示唆された。 2.喘息の治療に重要なイソプレナリンの気管枝拡張作用の発現メカニズムについて、われわれの以前の研究から、cAMP依存性の系を介して起こる細胞膜の過分極が重要な一因子であることがわかっていた。今回さらに、パッチクランプ方による実験から、細胞外からのイソプレナリン投与または細胞内からのcAMP依存性プロテインキナ-ゼ投与が、気道平滑筋細胞膜に多く分布することの知られている、Ca^<2+>依存性K^+チャネルの開確率を可逆的に増すこと、また、それらの効果がオカダ酸の存在下では著明に増強・遷延せしめられることが明かとなった。
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[Publications] TAKAI,A.,Troschka,M.,Mieskes,G.,& Somlyo,A.V.: "Protein phosphatase composition in the smooth muscle of guinea-pig ileum studied with okudaic acid and inhibitor 2" Biochenicul Journal. 262. 617-623 (1989)
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[Publications] Kume,H.,TATAI,A.,TOKUNO,H.,& TO MITA,T.: "Regulation of Ca^<2+> dependent K^+ channel activity in tracheal myocytes by phosphorylation" Nature. 341. 152-154 (1989)
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[Publications] OBARA,K.,TAKAI,A.,RUegg,J.C.& de Kaberikkem P: "Okadaic acid,a phosphatase inhibitor, produces a Ca^<2+> and calmodulin-inclependent contraction of smooth muscle" Pflugers Archiv. 414. 134-138 (1989)
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[Publications] 高井章: "海綿毒素オカダ酸による蛋白質脱燐酸化過程の阻害と筋収縮増強作用" 血管. 12. 61-66 (1989)