1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 助手 (80177401)
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Keywords | 視床下部外側野 / 小脳室頂核 / ラット / 細胞内記録 / ブドウ糖感受性ニュ-ロン / 単シナプス性IPSP |
Research Abstract |
自律神経系の制御に重要な役割を果たしている視床下部外側野(LHA)に対する小脳室頂核(FN)からの神経入力様式について検討した。ウレタン-αクロラロ-スで麻酔したラットにおいて、0.1mA、0.1mSの矩形波を100Hzで連続刺激することによって昇圧反応が起こることが知られているFNを単発刺激し、LHAニュ-ロン活動に対する反応をヒストグラムにより検討したところ、対側の刺激によって約30%のLHAニュ-ロンが抑制後興奮反応を示し、14%が興奮、4%が興奮後抑制反応を示した。同側のFN刺激に対しては16%が抑制後興奮、7%が興奮反応を示した。また対側のFN刺激時に、下小脳脚を切断すると昇圧反応はほとんど消失したが、LHAニュ-ロンの応答は消失しなかった。さらに、多連微小電極を用いてLHAニュ-ロンにブドウ糖を直接投与し活動が低下するブドウ糖感受性ニュ-ロンを同定したところ、その約80%がFN刺激によって抑制されることが明らかになった。次にLHAのニュ-ロン活動を細胞内記録しながらFNを刺激することによってFNからLHAへの入力様式をさらに詳しく検討した。その結果、FN刺激によるLHAニュ-ロンのシナプス後電位の変化はそのほとんどがIPSPであった。以上の結果から、FNからはおそらく上小脳脚を介して主にLHAのブドウ糖感受性ニュ-ロンに対し単シナプス性抑制性線維が存在することが考えられる。LHAが自律神経の節前ニュ-ロンに単および多シナプス性線維連絡を有し、自律神経を介して循環、代謝および内分泌系の制御を行っていることから、本実験で明らかになったFNからLHAへの単シナプス性線維は、前庭-小脳系情報による自律神経機能の変化において重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(1 results)