1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 助手 (80177401)
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Keywords | 小脳室頂核 / 視床下部室傍核 / バゾプレッシン / 迷走神経背側運動核 |
Research Abstract |
1.研究目的:小脳室頂核(FN)の電気刺激による昇圧反応時には、血中のバゾプレッシン(VP)濃度も変化するがそのメカニズムは不明である。そこで視床下部室傍核(PVN)の神経分泌細胞に対するFNからの神経伝達様式、およびPVNからの投射が密な迷走神経背側運動核(DMV)におけるVPの作用を神経生理学的方法を用いて検討した。 2.方法および研究結果:(1)FNからPVN神経分泌ニュ-ロンへの入力様式。麻酔下のラットを用いて、脳底部より視床下部を露出した後、PVNニュ-ロン活動を記録しながら下垂体茎の刺激によって逆行性スパイクが誘発される神経分泌ニュ-ロンを同定した。FNの一発または二発刺激による応答はおもに抑制性であり、しかも細胞内記録からそれらは単シスプス性伝達によることが明らかになった。また、FNの連続刺激によってもPVNのVPおよびオキシトシンニュ-ロンの活動は抑制された。(2)DMVニュ-ロンに対するVPの作用。 DMVを含むラット脳薄切片標本を作成し、潅流液中にVP、VPアンタゴニストおよびアンジオテンシンII(AII)を投与しそれらの効果を検討した。その結果、VPはV_1レセプタ-を介した直接作用によって、9割以上のDMVニュ-ロンを興奮させ、AIIは単独では半分以上のDMVニュ-ロンに対して無効であるが、VPによる興奮作用に対して抑制性修飾を行っていることが明らかになった。 3.考察:本研究の結果から、FNからの情報がPVNの神経分泌ニュ-ロン到達し、さらに脳幹の自律神経核へ伝達される可能性が明らかになった。すなわち、小脳系情報が視床下部による神経内分泌および自律神経系を介した生体のホメオスタシス調節に深く関与していることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katafuchi,T.: "Fastigial inputs to paraventricular neurosecretory neurones studied by extraー and intracellular recordings in rats." Journal of Physiology.421. 535-551 (1990)
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[Publications] Mo,ZーL.: "Effects of vasopressin and angiotensin II on neurones in the rat dorsal motor nucleus of the vagus,in vitro."