1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝薬物代謝酵素の多様性と、その動物からヒトへの外挿
Project/Area Number |
01570114
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
安原 一 昭和大学, 医学部, 教授 (70053999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 孝子 昭和大学, 医学部, 助手 (00175499)
小林 真一 昭和大学, 医学部, 助教授 (20129836)
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Keywords | エノキサシン / チトクロ-ムPー450 / アンチピリン / トリメタジオン / ラット |
Research Abstract |
エノキサシン(Ex)は広く臨床で使用されているニュ-キノロン系の抗生剤である。最近、Exがテオフィリンや他の薬物と肝臓での代謝において相互作用する事が報告されている。そこで今回は、肝薬物代謝酵素に対するExの作用をラットとヒトで検討した。アンチピリン、トリメタジオンを指標薬物として使用した。Exの単回投与ではラット肝ミクロゾ-ム中の代謝酵素活性およびチトクロ-ムPー450含量に著変はみられなかった。しかしEx(100mg/kg)1日3回、3日間投与ではPー450は有意に増加し、アニリン水酸化酵素や他の酸化酵素活性も増加した。同様にラットでアンチピリンのクリアランスはEx単回投与により用量に相関して減少し、反復投与では約30%減少した。Ex反復投与によるアンチピリン主要代謝物のフォ-メイション・クリアランスはCL_<HMA>が53%に減少、CL_<NORA>が155%に増加、CL_<OHA>が不変となった。同様にラットでのトリメタジオン代謝はEx投与により変化を受けなかった。一方、ヒトではEx(200mg)1日3回、3日間投与によりアンチピリンの消失速度数は有意に減少し、半減期、曲線下面積は約2倍に延長、増加し、クリアランスは45%に減少した。さらにアンチピリンの主要代謝物のフォ-メイション・クリアランスはCL_<HMA>、CL_<NORA>、CL_<OHA>とも61%、38%、60%にそれぞれ有意に減少した。しかし、トリメタジオン代謝はEx投与により有意に増加した。以上の結果より、Exは肝のPー450アイソザイムにそれぞれ誘導、抑制作用を示し、アンチピリン、トリメタジオン代謝に関わるPー450はラットとヒトでは異なる酵素化学的特性を有していると考えられる。
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