1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570118
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
田中 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (10080954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆彦 久留米大学, 医学部, 助手 (20217045)
横尾 秀康 久留米大学, 医学部, 助手 (00174847)
津田 彰 久留米大学, 医学部, 講師 (40150817)
|
Keywords | 脳内ノルアドレナリン放出 / ストレス / ストレス初期 / 脳内微少灌流 / 視床下部 / オピオイド・ペプチド / ストレス鎮痛 / 神経化学 |
Research Abstract |
1時間といった持続するストレスによりラットの広汎な脳部位でnorーadrenalin(NA)の放出亢進が生じることはよく知られている。今回は特にストレス初期の変化について明らかにするため10分間拘束ストレスという短時間ストレスの脳内NA放出に及ぼす影響についてWistar系雄性ラットを用いて検討した。その結果、10分間という短時間ストレスであっても、ストレス解放60分後までの変化を観察すると、視床下部、扁桃核、青斑核部などの部位で70分間連続拘束ストレスとほぼ同程度のNA放出亢進が生じることが明らかになった。つまり1時間といった持続するストレスであっても初期の10分間位の間に生じる生体系の反応がその後の一連の生体反応に大きな影響を与えることが示唆された。そこで更に短いストレスである1分間、5分間の拘束ストレスについて検討したところ、5分間ストレスではごく限られた部位でNA放出亢進が生じるのに1分間では広汎な脳部位でNA放出が亢進した。両者の違いを検討するためtailflick法を用いてストレス鎮痛の有無を検討した。その結果、1分間ストレスでは全くストレス鎮痛は生じず、5分間ストレスではストレス鎮痛が生じしかもそれはnoloxoneにより拮抗された。この結果から5分間ストレスでは内在性opioid peptidesの放出亢進が生じ、それがNA放出亢進に抑制的に作用するためNA放出亢進する脳部位が限られるものと推測された。また視床下部に先端部に半透膜を装着したプロ-ブを挿入し微少潅流を行い潅流液中のNA含量を定量した。その結果、20分間の拘束ストレスによっても潅流液中のNA含量は速やかに有意に増加することが明らかになった。これらの一連の実験結果より、ストレス初期の生体内変化はその後の一連の生体変化に重大な影響を与えること、opioid peptidesの関与はストレス曝露より少し遅れることなどを明らかにすることが出来た。
|
-
[Publications] 田中正敏、他: "抗不安薬の薬理作用に関する神経化学的研究ー情勢ストレスによる脳内ノルアドレナリン代謝の変化との関連性ー" 精神薬療基金研究年報. 21. (1990)
-
[Publications] 横尾秀康、他: "脳内透析灌流法による視床下部ノルアドレナリンの経時的測定ー拘束ストレスによる影響ー" 神経化学. 28. 322-323 (1989)
-
[Publications] 権藤雄二、他: "ストレスから解放後のラット脳内ノルアドレナリン放出亢進の部位差ー短時間拘束による検討ー" 神経化学. 28. 384-385 (1989)
-
[Publications] Yokoo,H,et al.: "Stressーinduced increases in noradrenaline release in the rat hypothalamus assessed by intracranial microdialysis." Experientia. (1990)
-
[Publications] Tanaka,M,et al.: "Involvement of brain noradrenaline system in emotional changes caused by stress in rats." Annal.New Yoek Acad.Sci.(1990)