1989 Fiscal Year Annual Research Report
動物のホスファテジルコリン合成に関する酵素遺伝子の研究
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01570123
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
保坂 公平 群馬大学, 医学部, 講師 (70108992)
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Keywords | ホスファテジルコリン / リン脂質合成 / コリンキナ-ゼ / 酵母 / 酵母内発現ベクタ- / イノシト-ル / コリン |
Research Abstract |
本研究では動物のホスファテジルコリン合成に関与する酵素遺伝子、コリンキナ-ゼ(CKI)遺伝子を、我々が単離した酵母のCKI遺伝子、又は酵母のCKI変異株を利用して単離することを試みた。まずラット肝よりポリAmRNAを調製し、逆転写酵素及びKlenow fragmentを用いてcDNAを合成した。次に動物の遺伝子を酵母内で発現させるための発現ベクタ-を開発した。このベクタ-は酵母のURA3遺伝子、大腸菌のamp^R遺伝子、酵母の2μDNA及びマルテクロ-ニングサイトで分断された酵母のADHプロモ-タ-とタ-ミネ-タ-を含んでいる。このベクタ-をマルチクロ-ニングサイトで唯一ヶ所切断するEcoRIで処理し、ここにEcoRIリンカ-を連結せたcDNAを導入しライブラリ-を得た。組込まれたcDNAの平均の大きさを求めてみると約500塩基対であった。この段階で酵母CKI遺伝子とのi)ハイブリダイゼ-ションクロ-ニングは可能であるが、酵母のCKI変異株を利用したii)相補性クロ-ニングを行うためにはほぼ完全長(多分1500塩基対以上)のcDNAが組込まれている必要があるので、現在更に大きなcDNAが導入されたライブラリ-ができるような系を開発中である。またこれと併行してi)の方法によるスクリ-ニングを行ったが、現在までのところポジティブなクロ-ンを得るに至っていないところから、ラット肝CKI遺伝子と酵母CKI遺伝子間ではDNA塩基配列上のホモロジ-は近いものと推定される。最近Wigler等は、ii)と類似の方法で動物のcAMP phosphodieterase遺伝子のクロ-ニングに成功したと報告していることからも、我々のii)による成功の確率は高く、今後この方法を重点的行う予定である。一方動物のモデル系として酵母を用い、CKIの調節について調べたところ本酵素活性は、イノシト-ルとコリンにより抑制的に調節を受けることが明らかとなった。酵素活性の低下は、酵素の量、CKImRNAの含量の低下であることも明らかとなった。
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[Publications] K.Hosaka,T.Murakami,T.Kodaki,J.Nikawa & S.Yamashita: "Repression of Choline Kinase by Inositol and Choline in Saccharomyces cerevisiae" J.Bacterol. (1990)