1989 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸鎖電子伝達系複合体II(コハク酸-ユビキノン還元酵素)中のb型シトクロムの機能
Project/Area Number |
01570142
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北 潔 順天堂大学, 医学部, 講師 (90134444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 理江子 順天堂大学, 医学部, 助手 (50146776)
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Keywords | 複合体II / シトクロムb / ミトコンドリア / クロ-ニング / cDNA塩基配列 / サブユニットの解離 |
Research Abstract |
複合体II(コハク酸-ユビキノン酸化還元酵素)はTCA回路の酵素中唯一の膜結合性酵素であり、同時に呼吸鎖電子伝達系の初発酵素として機能している。しかし回虫など嫌気的エネルギ-代謝を行う生物においては逆反応のフマル酸還元酵素活性を示し、NADH-フマル酸還元系の末端酸化酵素として機能している。申請者はこれまでにこの複合体IIにおける電子伝達の方向性の決定要因のひとつが構成成分のシトクロムbにあることを明らかにしてきたが、平成元年度はこの点をより詳細に調べる目的で研究を行い、以下の結果を得た。 第1点はシトクロムb成分と他のサブユニットの相互作用を調べるため複合体IIよりシトクロムbを分離する条件を検討した結果、陰イオン性界面活性剤であるサルコシルが有効であることが判った。次年度においてはこの系を用いて再構成を中心とした研究を進めて行く予定である。第2点はこのシトクロムb成分に関し、抗体を用いてヒト肝、回虫筋のcDNAライブラリ-よりクロ-ニングを試みた。この結果両者ともに陽性クロ-ンが得られ、融合タンパク質に対する抗体の免疫ブロッティングなどから目的とするクロ-ンであることが確認された。第3点はコハク酸からシトクロムbへの電子伝達に関与する非ヘム鉄サブユニットについてそのcDNAのクロ-ニングから一次構造の解析を行った。ヒト肝のライブラリ-より得られたクロ-ンから決定した塩基配列をもとに予想したアミノ酸配列は細菌のそれと高い相同性を示した。また非ヘム鉄の結合部位と考えられるシステインに富んだ3ヶ所の領域が見出された。現在このcDNAをプロ-ブとして回虫cDNAライブラリ-を検索中であり、次年度においてこの塩基配列を決定し、両者の比較を行う予定である。以上複合体IIのシトクロムb成分の特性を明らかにするための準備段階としての初年度の研究はほぼ計画通りに進行した。
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