1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570148
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
木谷 隆子 旭川医科大学, 医学部, 教務職員 (70101417)
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Keywords | オルニチン脱炭酸酵素 / アンチザイム / アンチザイムインヒビタ- / ポリアミン |
Research Abstract |
ポリアミン生合成の律速酵素であるオルニチン脱炭素酵素(ODC)は哺乳動物の酵素の中で最も半減期の短い酵素として知られ、癌化や細胞増殖時に著明な活性の上昇を示し、その活性の調節機構は興味深い。ODCの活性の調節機構を解明するにはODC蛋白の合成や分解による酵素蛋白質の量的な変動と、ODCの活性化、不活性化による酵素活性の変動の2つの面から研究を進める必要がある。私はこれまで比較的研究が進んでいない酵素活性の変動、すなわち酵素蛋白質の質的変化による調節に焦点をしぼり、研究を進め、幾つかの生体成分がODC活性の変動をひき起こすことを明らかにしてきた。又、ODC活性の変動を調節する因子として、ODCには特異的活性阻害蛋白質、アンチザイムやそのアンチザイムの阻害蛋白質、アンチザイムインヒビタ-の存在が知られODCの複雑な活性調節を示唆している。私はこれまでにODC、アンチザイムをラットの肝臓よりそれぞれ70万倍、60万倍の高倍率で精製して、純粋にし、それらの性質を調べて研究を進める為の準備を整えてきたが、さらにアンチザイムインヒビタ-をアンチザイムをリガンドとしたアフィニティクロマトを用い、1700万倍の精製を行った。ODCとアンチザイムインヒビタ-はSDS-PAGEの分子量は54,000と51,000とよく似た値をしめし、高倍率の精製にもかかわらず、完全にODCをはずすことはできなかった。しかし、ODCの抗体とアンチザイムインヒビタ-が反応しなかったことから、アンチザイムインヒビタ-がODCの不活化したものである可能性は否定された。このようにODCの活性の変動に関与する因子を精製したが、さらに、ODCの活性の調節に関与していると推定されているAキナ-ゼ、カルモデュリンキナ-ゼIIやCキナ-ゼによるODCのリン酸化をも調べ、ODCの活性の調節のメカニズムを明らかにしたいと考えている。
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