1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570148
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
木谷 隆子 旭川医科大学, 医学部, 教務職員 (70101417)
|
Keywords | オルニチン脱炭酸酵素 / 蛋白質燐酸化酵素 / セカンドメッセンジャ- / アンドロゲン / マウス腎臓 / 酵素活性の調節 |
Research Abstract |
オルニチン脱炭酸酵素(ODC)の活性は生体や細胞の環境の変化や、細胞に与えられる種々の刺激等によって著明に変動し、情報伝達系に敏感に応答する典型的な酵素の1つであると考えられたので、細胞内情報伝達の代表的なセカンドメッセンジャ-であるサイクリックAMP、ジアシルグリセロ-ル、カルシウムイオンによってそれぞれ活性化されるサイクリックAMP依存性蛋白質燐酸化酵素、カルシウム/燐脂質依存性蛋白質燐酸化酵素(プロティンカイネ-スC)、およびカルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素IIの活性調節支配を受けているかどうかは大変興味深い問題であり、昨年度は計画を変更してこの問題を調べた。上記3つの多機能性蛋白質燐酸化酵素を精製し、ODCの燐酸化を調べたが有意な燐酸化を示す実験結果は得られなかった。ODC活性は上記の3つの代表的なセカンドメッセンジャ-の関与する情報伝達系によって直接活性調節支配を受けていないものと考えられた。ODCの活性の調節機構を解明するにはODC蛋白の合成や分解による酵素蛋白質の量的な変動と、ODCの活性化、不活性化による酵素活性の変動の2つの面から研究を進める必要がある。ODCをラットの肝臓より純粋に精製し、ウサギに免疫して得た抗体を用いて、アンドロゲン投与により約6倍ODC活性を上昇させたマウスの腎臓と未処理のものとでODCの蛋白量を調べたところ、両者のODCの蛋白量に有意な差は認められなかったので、アンドロゲン投与によるマウス腎臓のODC活性の著明な上昇はODCの活性化によるものと思われた。これまでに私はODCの活性に影響する多数の生体因子を報告しているので、それらの因子がODC活性に影響する機構についてさらに調べ、ODC活性の調節の研究の基礎的デ-タを固めていきたいと考えている。
|