1989 Fiscal Year Annual Research Report
X線照射による胸腺細胞死の原因となるタンパク質の研究
Project/Area Number |
01570150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉田 良樹 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (90019539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 哲郎 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (20111370)
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Keywords | 胸腺細胞 / 細胞死 / RNA / X線障害 / Apoptosis |
Research Abstract |
X線照射による胸腺細胞死(apoptosis)はタンパク合成阻害剤により抑制されるので、X線照射により誘導されるタンパク質が細胞死に積極的に関与すると考えられ、そのタンパク質合成に直接あるいは間接的に関与するRNAの構造および機能の解明を試みた。X線被照射胸腺細胞からポリA-RNAを得て入gt10でライブラリ-を作成し、被照射細胞と正常胸腺細胞ポリA-RNAとの差によりスクリ-ニングしてX線照射で増加したRNAに対応するクロ-ンを得た。このクロ-ンのDNAをpGEMベクタ-に挿入し、T7-,SP6-RNAポリメラ-ゼによりRNAを合成し、アフリカツメガエル卵母細胞に注入し細胞死をひき起こす3種のRNA(RT2T,RT28S,RT33T)を得た。これらのRNAをラット胸腺細胞およびヒト2倍体培養細胞にレ-ザ-マイクロインジェクタ-を用いて注入して細胞死を検討した。RT28Sは強い細胞障害性を示し、RT33Tはそれより弱く、RT2Tは殆ど細胞死をひき起こさなかった。これらのRNAのCDNAの塩基配列を決定した。RT28Sはラット染色体散在性反復配列であるB2反復配列と相同配列を分子内に2ヶ所持ち、RT33TはヒトAlu反復配列との相同配列とB2反復配列およびその逆配列との相同配列を持つ。RT2Tは12SrRNA(ミトコンドリア)の一部との相同配列であった。3種のRNAとも停止コドンが多く、mRNAとしての機能以外の作用により細胞障害を起こしている可能性もあるので、RNAの直接的機能についても検討する必要がある。
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