1989 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎自然発症LECラットにおけるチトクロ-ムPー450の発現異常と肝炎発症機構
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01570157
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
杉山 俊博 大阪大学, 医学部, 助教授 (00127242)
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| Keywords | 肝炎自然発症 / チトクロ-ムPー450 / DNAメチル化 / LECラット / コリン欠乏食 |
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| Research Abstract |
薬物代謝系酵素のうちLECラットにおいて著名な変化が見られる酵素、特にチトクロムPー450について、フェノバルビタ-ル(PB)型やメチルコラントレン(MC)型アイソザイムを分離精製し、それらの抗体を作製し、肝炎や肝癌の初期発症過程におけるおのおののアイソザイムの変動パタ-ンを免疫化学的、酵素学的に検索した。その結果、非誘導時ではLECラットにおいてPB型分子種の発現量の減少と、逆にMC型分子種の増大が見られた。PB投与により、PB型分子種は活性で51倍、蛋白質で8倍誘導され、一方、MC投与によりそれぞれ6.3倍、9.7倍誘導された。誘導能は、対照ラットよりも顕著であった。以上の結果から、LECラットにおけるPー450発現量は分子種により挙動を異にしており、特にMC型分子種の増大が癌化の要因の一つと考えられた。
次に、Pー450の遺伝子発現に影響を及ぼす因子であるDNAのメチル化の程度について検討したところ、肝炎や肝癌の発症時にはLECラットのそれは、有意に低下しており、DNAの低いメチル化を誘発できる5'ーアザシチジンに対する感受性も高かった。さらに、コリン欠乏食投与のLECラットにおいて、総Pー450量は30%減少し、Pー450アイソザイムの蛋白量と活性はいずれも測定感度以下に減少した。コリン欠乏食によるPー450の発現は、化学発癌過程にみられる酵素変動パタ-ンと類似していた。このように、DNAの低いメチル化やコリン欠乏食投与でチトクロムPー450の発現が著しく変動することが観察された。以上の結果から、チトクロ-ムPー450の発現異常には、DNAの低メチル化との関連性が示唆された。肝炎はメチル基代謝障害により肝細胞が破壊されるために発症するのではないかと考えられた。
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[Publications] Sugiyama,T.: "Metabolic predisposition of a novel mutant(LEC rats)to hereditary hepatatitis and hepatoma:alterations of the drug metabolizing enzymes" Carcinogenesis. 9. 1569-1572 (1988)
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[Publications] Masuda,R.: "Hepatommaーassociated alterations of serum α_1ーantitrypsin in hereditary hepatitis LEC rats as a new animal model of liver disease" Int.J.Biochem.20. 1171-1176 (1988)
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[Publications] Katagiri,M.: "Comparative studies on microsomal NADPHーcytochrome Pー450 reductase using a monoclonal antibody:tissue distribution,specific activity and peptide mapping" Int.J.Biochem.21. 1395-1405 (1989)
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[Publications] Sugiyama,T.: "Selective expression and induction of cytochrome Pー450_<PB> and Pー450_<MC> during the develoment of hereditary heatitis and hepatoma of LEC rats" Carcinogenesis. 10. 2155-2159 (1989)
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[Publications] 杉山俊博: "肝細胞癌ー疫学・発癌・診断・治療ー" 富士書院, 434 (1989)
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[Publications] Tamura,S.: "Medical Biochemical and chemical aspects of free radicals" Elsevier Science Publishers,B.V.,Amsterdam, 1559 (1989)
