1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570161
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 章 愛媛大学, 医学部, 助手 (40171467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 将 愛媛大学, 医学部, 助手 (00184854)
嶋津 孝 愛媛大学, 医学部, 教授 (30090400)
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Keywords | 交感神経 / 視床下部腹内側核(VMH) / 2-デオキシグルコ-ス / サイトカラシンB / 糖の取り込み / 糖輸送体動態 / 心筋,骨格筋 / 褐色脂肪組織(BAT) |
Research Abstract |
神経系が組織での糖利用を調節することを立証し、その作用様式を明らかにする目的で、ラットを用い、2-デオキシグルコ-ス法にて糖の組織への取り込みと、サイトカラシンB結合量にて糖輸送体動態に及ぼす交感神経系の作用について検討し、以下の新知見を得た。 1).交感神経系の中枢である視床下部腹内側核(VMH)を電気的に刺激すると、心筋、褐色脂肪組織(BAT)での糖の取り込みが著しく増加し、骨格筋でも増加した。しかし、横隔膜、白色脂肪組織では変化がなかった。また、BATでの糖の取り込み増加は、その支配神経を外科的に切除しておくと抑制される。 2).上記の糖取り込み亢進が起こる条件下に心筋、BATでの糖輸送体動態を調べたところ、糖輸送体の細胞内プ-ルから細胞膜への移行、すなわち細胞膜画分の糖輸送体数の増加は認められず、また糖に対する親和性にも変化がなかった。これに対し、インスリン投与では、心筋、BATとも細胞膜画分での糖輸送体数の増加と細胞内プ-ル糖輸送体の減少が見られた。 3).BATに対する生理的な交感神経刺激ともいえる寒冷暴露では、糖の取り込み亢進が著しかった。数日間の寒冷暴露では細胞膜画分の糖輸送体数の増加を伴うものの、数時間の暴露では糖の取り込み増加が顕著であるにもかかわらず糖輸送体数の増加は見られなかった。この寒冷暴露の効果は、BATの神経切除によって抑制された。 これらの成績は、組織での糖利用がインスリン作用に依存しない神経系による調節を受け取ることを明らかにしており、その細胞膜を介する糖の取り込み増加の様式が輸送体そのものの活性変化によることを示唆している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Watanabe,Y.,Takahashi,A.and Shimazu,T.: "Neural control of biosynthesis and secretion of serum transferrin in perfused rat liver." Biochem.J.267. (1990)