1989 Fiscal Year Annual Research Report
いわゆるびまん性間質肺矣、肺線維症の病理:タイプ別コラ-ゲンの動態と局在
Project/Area Number |
01570172
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松原 修 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40107248)
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Keywords | 肺線維症 / 間質性肺矣 / 線維化 / コラ-ゲン |
Research Abstract |
肺線維化の実態であるコラ-ゲン分子種の動態を掴み肺における線維化の基礎的な機序を解明したいと考える。剖検により得られた正常肺8例と線維化肺組織3例の新鮮材料を未固定のままクリオスタットで10μに薄切し、スライドグラスにはりつけ、ペプシン処理、コラ-ゲンを可溶化し抽出後、その抽出液をDEAEセルロ-スクロマトグラフィ-でタイプ別コラ-ゲンを分離した。この操作の前後で、肺組織のEvG,Ag,Masson染色、また抗タイプ別コラ-ゲン抗体、抗タイプI、抗タイプIIIと抗タイプIV抗体を用いてABC法による酵素抗体法を行い、コラ-ゲン成分の消失と残存を観察した。また、生材料そのままを30ー50グラム、ホモゲナイズ後上記と同様に可溶化してタイプ別コラ-ゲンを定量した。おおよそのα1(111)/α1(1)は正常例で0.1線維化肺例で0.8ほどであった。ヒト線維化肺では、正常に比べてI型コラ-ゲンとIII型コラ-ゲンの相対比の変化、III型コラ-ゲンの増加、IV型コラ-ゲンの減少、V型コラ-ゲンの増加が認められた。抗コラ-ゲン抗体を用いてPAP法により、上記の結果を確認したが、線維化肺ではタイプ111の抗体のものの方がより強く染色された。出現する細胞成分の種類と増減について線維化肺組織では、リンパ球、マクロファ-ジ、線維芽細胞、平滑筋細胞等が増加しているが、場所によるバラツキが大きいこと、光学顕微鏡のみでは同定の困難な細胞が結構あることがわかった。ヒト線維化肺のタイプ別コラ-ゲンの組織学的局在の研究ではスライドグラスにはりつけた肺組織が、酵素処理ではがれることが多くあり、この点の対策を講じないと能率が悪い。また、症例を増やしつつ、タイプ別コラ-ゲンの定量をしっかりしたデ-タとし、これに関与する細胞の役割を明らかにして、肺における線維化の基本的機序を解明したいと考えている。
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[Publications] Tan-Liu,NS,Matsubara,O.,Grillo,HC and Mark,EJ: "Invasive fibrous tumor of the trache bronchial tree:clinical and pathologic study of seven cases" Human Pathology. 20. 180-184 (1989)
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[Publications] Matsubara,O,Sato,T,Kitagawa,M,Kasuga,T: "Pulmonary thromboembolism:frequency,site,and vascular change in 103 autopsy cases" American Journal of Cardiovascular Pathology. 2. 321-328 (1989)
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[Publications] Matsubara,O,Kitagawa,M and Kasuga,T Kuwashima,Y,Nemoto,T,and Seki,S,: "In vivo dynamics of pulmonary lymphoid cell subpopulations generated against pulmonary metastasis:evaluation by bronchoalveolar lavage fluid" Virchows Archiv B.
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[Publications] Matsubara,O, Kasuga,T,and Kuwashima,Y,: "Responses of a murine B16 melanoma to pharmacotherapy studied and compared with differnt assay system" Journal of Cancer Research and Clinical Oncology.
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[Publications] 吉村信行,松原修,田村厚久,赤川志のぶ,春日孟: "肺胞蛋白症4例の臨床病理学的検討" 日本病理学会会誌.