1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩村 幸雄 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90110486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安羅岡 一男 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (00015976)
入江 勇治 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (80110485)
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Keywords | マンソン住血吸虫 / 日本住血吸虫 / DNA再構成 / ゲノミッククロ-ン / サザンプロット法 / ヘイブリジゼ-ション |
Research Abstract |
マンソン住血吸虫と日本住血吸虫のDNAをサザン法で分析し、住血吸虫おけるDNA再構成について検討した。マンソン住血吸虫ミラシジウムの全DNAをプロ-ブとして用いたサザン解析の結果から、マンソン住血吸虫ミラシジウムに存在するDNA配列が成虫では大規模に減少する事が明らかとなった。一方マンソン住血吸虫成虫雄の全DNAをプロ-ブとした解析結果から、成虫雄に存在するDNA配列が、幼虫のミラシジウムDNA中では一部のみが存在することが示唆された。更にマンソン住血吸虫ミラシジウムDNAより得られたDNAクロ-ンのあるものでは、その配列がマンソン住血吸虫成虫に存在しない事が示された。また、マンソン住血吸虫成虫DNAから得られた二個のDNAクロ-ンの配列は、マンソン住血吸虫ミラシジウムや日本住血吸虫ミラシジウム及び成虫には存在していない事が判明した。以上の結果から、マンソン住血吸虫において、それぞれの発生段階に特異的なDNA配列が存在することが示唆された。発育段階に特異的な配列の由来としてはウイルス感染やトランスポゾンによる遺伝子の導入等が考えられる。しかしそれら発育段階に特異的な配列は調べた限り、宿主DNAには存在しない。また外来遺伝子の導入では全DNAの大規模な変動は説明しにくい。従ってマンソン住血吸虫においてはミラシジウムの体細胞が発生、分化する際と、成虫の体細胞が発生、分化する際とでは、異なるDNA再構成が起こることが想定された。一方、日本住血吸虫では、全ての実験において、ミラシジウム、成虫共に、マンソン住血吸虫ミラシジウムとよく似たDNA構成であった。この結果より、日本住血吸虫では発育段階でDNA再構成をほとんど起こさないか、もしくは、ミラシジウムと成虫の体細胞系で同じ様式のDNA再構成が起き、それがマンソン住血吸虫ミラシジウムと同じ様式と考えられる。
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