1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570220
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 健 北里大学, 医学部, 講師 (30050652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 十四男 北里大学, 医学部, 教授 (20050312)
|
Keywords | Spirometra erinacei / Cestoda / Actomyosin / Paramyosin / Ca^<2+>-regulation |
Research Abstract |
マンソン裂頭条虫の成虫および幼虫(プレロセルコイド)について、その筋収縮・調節機構の検索を行ない、本年度までに以下の知見を得た。1)、シマヘビより幼虫を採取、イヌに感染させ、成虫を得た。グリセリン処理した成虫体より天然アクトミオシン(ミオシン-B)を抽出した。得られた抽出液中には、電気泳動的に、ミオシン、アクチンおよびパラミオシンが含まれていた。このミオシン-Bについて、ATPase活性および試験管内収縮モデルである超沈澱の基本的性質を調べた。その結果、このアクトミオシン系の生化学的収縮特性が明らかになった。成虫ミオシン-BのMg^<2+>-ATPase活性は、ウサギ骨格筋ミオシン-Bに比べ、著しく低かった。超沈澱について、成虫ミオシン-Bは、低濃度のATPの添加により、緩慢ではあるが、高レベルの濁度上昇(収縮)を示した。この系の収縮調節機構を調べると、著名なCa^<2+>感受性が認められた。Ca^<2+>をSr^<2+>に置き換えてもミオシン-BにはCa^<2+>同様の超沈澱現象が認められた。2)、成、幼虫から、筋蛋白の単離・精製を試みた。現在迄に、アセトン処理した成、幼虫体から、パラミオシン(PM)が単離された。両PMについて、電子顕微鏡的観察を行なったところ、Mg^<2+>-ATP存在下、ネガティブ染色によって、典型的なPMパラクリスタル構造が認められた。3)、そこで、成虫PMを尿素存在下のゲルろ過によって精製、電気泳動的にほぼ単一な蛋白をウサギに免疫し、抗血清を得た。抗血清は幼虫PMとも高い反応性を示した。成虫PM-アガロ-スアフィニティ-カラムを調製し、抗血清からPM特異性抗体を分離精製した。1mlの血清から1-2mgの抗体(IgG)が得られた。この抗体を用い、間接蛍光抗体法により、幼虫体におけるPMの局在を検討した。現時点までに、虫体の筋構造に一致した部位に強い蛍光染色像を確認しており、より詳細な観察が進行中である。
|