1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570220
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Research Institution | KIATASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 健 北里大学, 医学部, 講師 (30050652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 泰 麻布大学, 環境保健学部, 助手 (80204684)
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Keywords | Cestode / Spirometra erinacei / Muscle contraction / Actomyosin / Calcium regulation / Troponin |
Research Abstract |
マンソン裂頭条虫(Spirometra erinacei)成虫から筋収縮調節(制御)系蛋白の抽出を試みた。実験室内感染犬より採取した生鮮虫体を、各種蛋白分解酵素阻害剤と非イオン性界面活性剤を含む0.05M NaCl中でホモジナイズした。遠心沈澱を同液で十分洗浄し、筋原線維様沈渣を得た。この沈渣から0.4M LiClを用い天然アクトミオシン(ミオシンB)を抽出した。得られたミオシンBは試験管内収縮モデルである超沈澱において、著明なCa^<2+>ー感受性を有していた。調節系蛋白の分離のため、0.4M LiCl存在下、酸性pHでミオシンおよびアクチンを失活変性させた。中和後遠心分離された上清について、部分精製と濃縮のために硫安分画を行った。得られた分画を0.1M NaClに透析し、トロポニン(TN)ートロポミオシン(TM)複合体様蛋白(条虫nTM)とした。脊椎動物より調製した純粋なミオシンとアクチンによる合成アクトミオシン(AM)の超沈澱およびATPase活性に及ぼす条虫nTMの効果を測定した。超沈澱について、Ca^<2+>の有無にかかわらず生じ得た濁度上昇(収縮)は、アクチンと等量の条虫nTM添加により、Ca^<2+>非存在下(EGTAの存在、弛緩条件)に完全抑制された。この抑制はCa^<2+>添加(収縮条件)により完全に解除された。AMのMg^<2+>ーATPase活性においても、条虫蛋白による著明なCa^<2+>ー感受性が確認された。すなわち、マンソン裂頭条虫成虫には、少なくともアクチン依存性のCa^<2+>ー調節蛋白(TNーTM系)が存在することが明らかになった。しかし、未だ、ミオシン依存性調節機構の存在を否定し得ず、両者の共存の可能性は十分考えられる。
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Research Products
(1 results)