1989 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌細胞溶解毒素のADP・リボシル化と細胞膜障害情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
01570228
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野田 公俊 千葉大学, 医学部, 助教授 (60164703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛永 直子 千葉大学, 医学部, 助手 (20092108)
加藤 厳 千葉大学, 医学部, 教授 (40012702)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / α毒素 / ロイコシジン / ADPリボシルトランスフェラ-ゼ / GTP結合蛋白質 / ホスホリパ-ゼA_2 / ホスホリパ-ゼC / ホスファチジルイノシト-ル代謝系 |
Research Abstract |
平成元年度研究実施計画に従って、以下のように順調な研究成果を得ることができた。 1.黄色ブドウ球菌のα毒素とロイコシジンは、Wood46株及びV8株を用いて、加藤と野田らの方法によって精製し、結晶化することができたので、これを実験に供した。 2.精製したα毒素とウサギ赤血球膜を〔^<32>P〕-NAD存在下で保温したところ、赤血球膜の分子量95,000、52,000、41,000、37,000、28,000、そして10,000の膜蛋白質がADPリボシル化されたことから、α毒素がADPリボシルトランスフェラ-ゼ活性をもっていることを明らかにできた。又、GTP存在下では、上記の膜蛋白質のうち、41,000と37,000の蛋白質が特に強くADPリボシル化されることから、これらの2つの蛋白質はGTP結合蛋白質であることが示唆された。 3.ブドウ球菌ロイコシジンはSとFという2つの蛋白質成分からなっているが、S成分とF成分は、どちらもADPリボシルトランスフェラ-ゼ活性をもっていることを明らかにできた。S成分はウサギ多核白血球の分子量37,000の膜蛋白質を、F成分は分子量41,000の膜蛋白質をADPリボシル化した。 4.ブドウ球菌ロイコシジンのS成分は白血球膜のホスホリパ-ゼA_2を活性化すること、一方、F成分はホスファチジルイノシト-ル代謝系のホスホリパ-ゼCを活性化すること、そしてα毒素は、この2つの酵素活性を一分子でもっていることから、分子量37,000の膜蛋白質と41,000の膜蛋白質は、それぞれホスホリパ-ゼA_2とホスホリパ-ゼCの活性を制御している可能性が示唆されたので、現在、これらの点を研究中である。
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[Publications] Iwao Kato and Masatoshi Noda: "ADP-ribosylation of cell membrane proteins by staphylo-coccal α-toxin and leukocidin in rabbit erythrocytes and polymorphonuclear leukocytes." FEBS.Lett.255. 59-62 (1989)
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[Publications] 加藤厳、野田公俊: "細菌毒素研究の最近の進歩" 学術月報. 42. 128-133 (1989)
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[Publications] 野田公俊: "細菌由来蛋白毒素によるADP-リボシル化作用" 臨床検査. 34. (1990)
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[Publications] 加藤厳、野田公俊: "ADP-リボシル化毒素と標的分子(加藤厳、内田驍編)" 菜根出版(東京), 26 (1989)
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[Publications] 野田公俊、加藤厳: "GTP結合蛋白質のホットスポット(宇井理生、高井義美、堅田利明編)" 羊土社(東京), (1990)