膀胱付着に関与する大腸菌線毛成分の同定と膀胱炎発症機序の解析

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01570237
• Research Institution: Okayama University
• Principal Investigator: 友近 健一 岡山大学, 医学部, 講師 (00093691)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 公文 裕巳 岡山大学, 医学部付属病院, 講師 (30144760) ; 佐々木 順三 岡山大学, 医学部, 助教授 (30093686) ; 金政 泰弘 岡山大学, 医学部, 教授 (80033059)
• Keywords: Adhesin / 線毛 / 膀胱炎 / 大腸菌 / 感染

Research Abstract

尿路感染症患者分離大腸菌の保有するAdhesinの諸性質を、赤血球、酵母及び各種の線毛レセプタ-糖鎖を含有するリポソ-ム及びラテックス粒子を用いた凝集法により解析を加えた。その結果、Type1線毛保有菌株間に多くのType1線毛サブタイプの存在が明らかとなった。Type1線毛を構成する主要蛋白には明確な差異をみとめなかったので、これらのType1線毛サブタイプは線毛のAdhesin部分での差と考えられ、目下Type1線毛Adhesin遺伝子の調整を試み、Adhesin遺伝子の相同性に検討を加えている。
膀胱炎発症機序解析のため、マウスでの実験的感染モデルの作製を試みた。予備実験から、正常マウスの膀胱Superficial cellの膀胱腔側にはType1線毛保有菌の付着は観察されなかった。反転膀胱及び剥離膀胱上皮細胞へのType1線毛保有菌の付着を検討した結果、Superficial cellの基底膜側およびIntermediate cell及びBasal cellへの菌の付着が観察された。我々は、in vivoでの感染実験のため、Superficial cellを剥離する条件に検討を加え、トリプシンの膀胱注入によりIntermediate cell等にほとんど障害を加える事なくSpuerficial cellを剥離させることが出来た。またこの処理を行ったマウスでは、Type1線毛保有菌の膀胱注入により膀胱炎の発症が観察された。この実験膀胱炎マウスモデルは、その取扱が非情に簡単であり、実験の再現性も高いので今後の感染実験には非常に有効な方法となる。
今後のこれらの実験系を用いて各種のType1線毛保有菌株の付着・定着機構の分子レベルでの解析を行うとともに各菌株の病原性発現機構に検討を加えたい。

Research Products

• [Publications] Eya,S.: "Overproduction of Truncated Subunit a of H^+ーATPase Causes Growth Inhibition of Escherichia Coli." J.Bacteriol.171. 6853-6858 (1989)
• [Publications] Sasaki,J.: "Demonstration of Actin and Cytokeratin in the Nonciliated Bronchiolar Epithelial cell of Rat" Acta Histochem.Cytochem.22. 491-499 (1989)