1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570238
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
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Keywords | ビブリオ / 鞭毛 / 構造遺伝子 / 血清学的分類 / 極単毛 / 側毛 / フラジェリン |
Research Abstract |
ビブリオ属の細菌には特徴的な極単毛性鞭毛以外に、同一細胞上に多数の側毛性鞭毛を持つものがある。両者は互いに抗原性が異なるが、その抗原決定基は他種のビブリオ属菌の鞭毛との間に交差反応性のあるものとないものとがある。極単毛の抗原性は殆ど全ての種に部分的共通性が見られるが、今回腸炎ビブリオ極単毛の遺伝子をプロ-ブとしてハイブリダイゼ-ションを行ない、DNAレベルでも全ての種に共通性を見出した。また側毛は極単毛に比べると免疫学的には種特異性が高いが、DNAプロ-ブを用いて検討すると、免疫学的には交差性のない種間でも相同性が認められた。しかしながら、形態的に側毛を持たない種では側毛のDNAプロ-ブとの反応が見られず、これらは側毛の遺伝子が発現していないのであはなく、遺伝子そのものを持たないものであると判断された。また、腸炎ビブリオHLー2血清群の遺伝子をプロ-ブとしてHLー1およびHLー3の遺伝子断片とSouthern hybridizationさせてこれらの遺伝子のクロ-ニングを進行させた。本年度ではこれらのクロ-ンの分離にまでは至らなかったので、次年度にこれを完成させて塩基配列の解析を行なう予定である。これとは別に鞭毛タンパクの精製法を改良して腸炎ビブリオおよびVibrio vulnificusの鞭毛の精製を行なった。両菌種の極単毛性鞭毛は免疫学的交差反応性があるが、腸炎ビブリオのそれは44kdのタンパクのみから構成されているのに対して、V.vulnificusでは44kdと42kdの2種のタンパクが検出された。しかし、この2種のタンパクは抗原性が共通しているので同じ遺伝子の産物と思われ、42kdタンパクは一部が欠落したものと思われる。両者は単独で鞭毛繊維を再構成できるので、鞭毛繊維の構成には片方だけで十分と考えられ、異なる分子種の形成の理由は次年度の検討課題となる。
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Research Products
(1 results)