1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570240
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小田 紘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40107868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
又吉 盛健 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00128456)
吉家 清貴 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70174886)
|
Keywords | Q熱 / リケッチア / Coxiella burnetii / 血清診断 / 血清疫学 / 螢光抗体法 / 乳牛 |
Research Abstract |
平成2年度の研究は、当初の計画に沿って進行し、下記の知見が得られた。 1.血清学的診断用抗原の作成:1相抗原は我々の分離株(TKー1株)を発育鶏卵に接種することにより十分量を得ることができ、かつ比較的容易に精製することができた。II相抗原については、卵黄嚢における継代が20代目に達し、診断用II相抗原として使用できるめどがついた。一方、トリクロル酢酸処理をしたI相抗原は抗II相抗体に強い反応性を示し、診断用II相抗原としての有用性が示された。 2.検査手技の検討:Q熱の血清学的診断法としては、感度、迅速性、実用性の各点から間接蛍光抗体法が優れているとの結論を得た。しかし、最近注目されている分子量60K〜65Kダルトンの菌種間共通抗原の関与を考慮する場合には、従来法のいずれにも特異性の点で問題があることが判明した。しかし、この問題はウエスタンブロット法を用いることにより解決可能であった。 3.Q熱の血清疫学的研究:北海道から九州に及ぶ日本国内の数地域て採取された乳牛、および獣医師と畜産関係者の血清について、Coxiella burnetiiに対する抗体の有無を調べた。その結果、乳牛 329検体中90検体(29.2%)に抗体が検出された。また、ヒトの血清についても9名中2名の血清に抗体が検出された。これは予想をはるかに上回る高い陽性率であり、我が国においてもC.burnetiiが既に広範に侵淫していることを示す重要な新知見である。今後、不明熱の診断に際してQ熱の存在を想起することが重要であり、基礎医学、臨床医学、および獣医学領域の協同による全国レベルでの詳細な基礎的・臨床的研究の必要性が痛感された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] YOSHIIE,Kiyotaka: "Serological evidence that Q fever agent (coxiella burnetii) has spread widely among dairy cattle of Japan." Microbiology and Immunology.
-
[Publications] 小田 紘: "Q熱の血清診断におけるトリクロル酢酸処理抗原の利用" 感染症学雑誌.