1989 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ菌制限酵素の遺伝子操作への応用と資源酵素産生性の感染源決定への応用
Project/Area Number |
01570249
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Research Institution | 国立衛生試験所 |
Principal Investigator |
三瀬 勝利 国立衛生試験所, 衛生微生物部, 部長 (20072928)
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Keywords | 制限酵素 / Vibrio cholerae / プレシオモナス / 遺伝子操作 / PshAIエンドヌクレア-ゼ / コレラ菌 / 腸炎ビブリオ |
Research Abstract |
ビブリオ属菌から,安全かつ簡便に制限酵素産生菌を検出する方法を確立した。この方法は細菌をリゾチ-ムで溶菌し,ペリ酵素を溶出させ,ラムダDNAまたはT4dCDNAを基質として使用し,10mMtRNA(非特異的ヌクレア-ゼの阻害剤)を加えた反応系でアッセイするものである。本法により,150株のコレラ菌からA株の,83株のVibrio cholerae non01から16株の,68株の腸炎ビブリオから8株の,50株のプレシオモナス・シゲロイディスから2株の制限酵素産生菌を,それぞれ検出した。上記のデ-タは,ヒトに下痢症をおこすビブリオ属から,平均約10%の割合でII型制限酵素を検出できることを示している。このうち,V.cholerae non01の一株,腸炎ビブリオの二株,及びプレシオモナスの一株の制限酵素の特異性が明らかにされた。即ち,V.cholerae non01と腸炎ビブリオの制限酵素は,いずれもよく知られた制限酵素のアイソシゾマ-であったが,プレシオモナスのもの(PshAI制限酵素と命名)はGACNN/NNGTCという未発見の塩基配列を認識・切断する制限酵素であることを発見した。PshAIは活性も高く,安定であり,かつ新しい認識部位を持っていることもあり,遺伝子操作に有用であろう。なお,PshAIの産生菌はプレシオモナス011抗原の標準株であり,島田と阪崎により研究されたものである。PshAIの遺伝子座は決定されていない。なお,コレラ菌の制限酵素遺伝子を大腸菌K-12に導入する実験が,くり返し行なわれたが,いずれも不成功に終っている.遺伝子が導入されても,あらたに作られる制限酵素や修飾酵素が,大腸菌K-12に致死的に作用するのかも知れない。
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