1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトロタウイルスによる急性胃腸炎の分子機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01570254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川西 美知子 京都大学, 医学部, 助手 (60025616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 美文 京都大学, 医学部, 教授 (30029772)
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Keywords | ロタウイルス / 急性胃腸炎 / ロタウイルスcDNA |
Research Abstract |
二本鎖RNAウイルスであるロタウイルスは乳幼児の感染性下痢症の主要な病原因子であり、小腸上皮細胞に感染し増殖する。その下痢症発症の分子機構に関しては、単なる腸管上皮細胞のウイルス感染による細胞変性効果によるものか、ロタウイルス遺伝子産物による特異的な分子機構が働いているものなのか不明である。ロタウイルスの病原性を支配する遺伝子部位およびその遺伝子産物の機能を解析し、ヒトロタウイルスによる急性胃腸炎の分子機構を明らかにすることを目的とした。そのために本年度は前年度に引き続き主としてヒトロタウイルス強毒株を用いてロタウイルスの病原性を解析するための実験系の確立を推し進めた。ロタウイルスのRNAは11本の分節した2本鎖RNAで構成されているが、これらの精製RNAからcDNAを調整した。cDNAを哺乳動物発現ヘクタ-(pRC/CMV)に挿入した。現在作成した発現ベクタ-、特に病原性と関係ある第四遺伝子を挿入したベクタ-を各種細胞にトランスフエクトして生理活性の発現を検討中である。又、共同研究者らは各種下痢原因細菌の毒素遺伝子のクロ-ニングに成功しているのでこれら細菌の毒素遺伝子とロタウイルス遺伝子との相同性を調べることにより、ロタウイルス遺伝子産物中に細菌毒素様活性を持つものがあるかどうか検討したが、両者に相同性は認められなかった。最近抗ウイルス剤としてアンチセンスオリゴマ-が注目されているが、ロタウイルス遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成し、抗ウイルス効果についても検討中である。
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