1990 Fiscal Year Annual Research Report
サイトメガロウイルス胎内感染による脳障害成立機序に関する実験的研究
Project/Area Number |
01570264
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Prefectural Colony. |
Principal Investigator |
筒井 祥博 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 部長 (50073135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 智佳 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 研究員 (80214419)
成瀬 一郎 , 研究員 (20113326)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 胎内感染 / 脳発達障害 |
Research Abstract |
1胎生後期マウス脳室内へのマウスサイトメガロウイルス(MCMV)の感染による発育期脳障害の実験モデルの作成 胎生15日目のマウス脳室内にMCMVを注入して、生後の脳障害を解析できる実験モデルを作った。生後2週目までに大脳皮質および海馬の軽度の萎縮、側脳室の軽度の拡張を認めた。 2.MCMVが感染した発育期脳のウイルス感受性細胞胞の解析 上記実験モデルによってMCMVを胎生後期に脳室内に注入したマウスの生後2週間までの脳について、ウイルス抗原陽性細胞を検出するMCMVの前初期抗原に対する抗体と、neuronーspecific enolase(NSE)等の神経組織特異抗原に対する抗体を用いて免疫組織化学二重染色を行った。その結果、ウイルス抗原陽性細胞は大脳皮質および海馬に層状に配列し、その中の一部の細胞が抗NSE抗体で染色されることが分かった。従って、発育期マウス脳においては、MCMVはある種の神経細胞に親和性を示すことが明かとなった。 3.MCMVを胎生後期に脳室内に感染させたマウスの新生児期後期の嚢胞状脳病変の解析 MCMV感染マウスについて、生後、比較的長期間(30日まで)飼育したマウスについて脳を解析した。これらのマウスのおよそ20%に生後3週から4週にかけて、大脳皮質から白質にかけて嚢胞状病変が出現した。これらの病変の近傍の皮質表面や大脳底部に血管周囲のリンパ球の浸潤を認めた。ウイルスの血管はの親和性による乏血性変化による可能性を考え、抗ヒトファクタ-VIII抗体と抗ウイルス抗体を用いた二重染色を行った。その結果ウイルス抗原陽性細胞は血管内皮細胞にも認められ、MCMVが血管内皮にも親和性を有することが明かとなった。 4.胎生初期および中期マウス胚へのMCMVの感染妊娠4日目のマウス胚盤胞の胚胞腔にマイクロマニプレイタ-でMCMVを注入し、偽妊娠マウスの子宮内に戻し、胎令11日まで生育させて解析したが、感染は認められなかった。妊娠8.5日目にMCMVを注入すると、胎令11.5日目に胎盤、血管内皮、中胚葉細胞にウイルス感染陽性細胞を認めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 成瀬 一郎,筒井 祥博: "Brain abnormalities induced by murine cytomegalovirus injected into the cerebral ventricles of mouse embrys exoutero." Teratology. 40. 181-189 (1989)
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[Publications] 筒井 祥博,柏井 明子,河村 則子他: "Susceptibility of brain cells to murine cytomegalovirus infection in the developing mouse brain." Acta Neuropatho logica(Berl). 79. 262-270 (1989)
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[Publications] 筒井 祥博,佐竹 導子: "Differential expression of the major immediate early gene of human cytomegalovirus." Journal of General Viro logy. 71. 115-124 (1990)
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[Publications] 山本 直彦,山田 善也,大黒 徹,西山 幸廣,筒井 祥博他: "Antiviral effect of oxetanocin G against guinea pig cytomegalovirui infection in vifro and in vivo." Journal of Antibiotics. 18. 1573-1578 (1990)
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[Publications] 筒井 祥博,山崎 嘉朗: "Sub cellular distribution of the major immediate early protein of human cyfomegalovirus changes dusing infection." Journal of General Virology.
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[Publications] 長浜 真人,柏井 明子,筒井 祥博: "Viral DNA detected by in situ hy bridization in developing mouse brain infected with murine cy tomegulovirus." Acta pathologica Japonica.