1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570273
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
笠原 忠 自治医科大学, 医学部, 助教授 (60049096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野崎 菊夫 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (20101313)
八木沢 仁 自治医科大学, 医学部, 講師 (40192380)
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Keywords | IL1 / アストロサイト / IL6 / cAMP / コレラトキシン |
Research Abstract |
IL1は免疫系のみならず、神経系・結合組織系細胞に対しても分化増殖の誘導を行うことができる。IL1リセプタ-は最近そのcDNAのクロ-ニングがなされたが、IL1を介するシグナル伝達の機序は依然不明の点が多い。我々は従来からヒト白血病細胞株HSB・2を用いてIL1の作用発現機序の解析を行っており、この成果を発表した(Kasaharaら,Microbiol.Immunol.1989)。今年度はさらにヒトアストロサイト細胞株(U373)に対するIL1の作用機序の解析を行った。この細胞株はIL1やTNF-αによって増殖が誘導されると共に、IL6産生とIL6mRNA遺伝子発現の著名な増強が観察され、本研究には格好の標的細胞といえる。 これまで得られた成果は、(1)U373細胞株のIL1による増強とIL6mRNAの増強には細胞内Ca^<2+>流入やPI代謝は関与していない。(2)IL1によるU373の増殖はG蛋白(Gsα)結合性のコレラトキシン(CT)及びGiα結合性の百日咳毒素によって強く阻害された。IL6mRNA発現に対しては、CTは増強作用を示し、またcAMP類似薬も作用は弱いが、同様の効果をもつ。(3)CTの作用は細胞内cAMPレベルの上昇だけでは説明つかず、cAMPとリンクしてないGsα以外の未知のG蛋白の関与を示唆するものであった。(4)IL1は細胞内cAMPレベルを変動させることはなく、IL1の作用には直接関与しないが、外来からのcAMPはIL1の作用に増強あるいは抑制的な調節を行っていることが明かとなった(以上の成果はB.B.R.C.1990に印刷中)。 この他、(5)IL1のDAG及びPCサイクルの存在とその役割(Yagisawaら)、(6)妊娠羊水中におけるIL1α、βの存在とその意義(Tsunoda et al.投稿中)、(7)SLE患者血清中に存在するIL2産生阻害物質の同定(Arthritis.Rheumat.1989)、(8)IL2による好酸球増多の機序の解析(Yamaguchiら、投稿中)等、IL1以外のサイトカインについての成果も続々得られ、公表予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kasahara,T.,Yagisawa,H.,Mukaida,N.,ほか: "IL1 regulation of IL2 and IFN-γ gene activation in a human leukemic HSB.2 subclone." Microbiol.Immunol.33. 229-243 (1989)
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[Publications] Miyagi,J.,Minato,N.,Sumiya,M.,Kasahara,T.,Kano,S.: "Two types of antibodies inhibiting IL2 production by normal lymphocytes in patients with systemic lupus ery thematosus." Arthritis Rheumat.32. 1356-1364 (1989)
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[Publications] Kasahara,T.,Yagisawa,H.,Yamashita,K.,Yamaguchi,Y.Akiyama,Y.: "IL1 induces proliferation and IL6 mRNA expression in a human astrocytoma cell line:Positive and negative modulation by chorela toxin and cAMP." Biochem.Biophys.Res.Commun.(1990)
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[Publications] Tsunoda,H.,Tamatani,T.,Oomoto,Y.,Hirai,Y.,Kasahara,T.,ほか: "Changes in IL1 levels in amniotic fluid with gestational ages and delivery"
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[Publications] Yamaguchi,Y.,Suda,T.,Shiozaki,H.,kasahara,T.,ほか: "In vivo and in vitro induction of IL5 mRNA by IL2 that causes eosinophillia in mice."
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[Publications] 笠原忠,赤星透,角田肇,小野崎菊夫ほか: "炎症反応と臨床検査一インタ-ロイキン1" 臨床病理.
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[Publications] 笠原忠,寺田泰比古: "造血機構とその調節因子1-4.IL1の作用の機構(実験医学 臨時増刊号)" 羊土社, 6 (1989)
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[Publications] 小林芳郎,笠原忠: "新生化学実験講座 第7巻増殖分化因子とその受容体1.3.2.インタ-ロイキン1" 東京化学同人(日本生化学会編),