1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫グロブリン遺伝子の再編成に関与する核内因子の同定と関連遺伝子の単離
Project/Area Number |
01570276
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
市原 慶和 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 講師 (80176304)
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Keywords | 免疫グロプリン遺伝子 / XLA / SCID / 免疫不全症 / DNA結合因子 / DNA再編成 |
Research Abstract |
免疫グロプリン遺伝子の再編成は細胞の核内において以下の3つの過程を経て起こると考えられる。すなわち、(1)再編成に必要なシグナル配列の認識、(2)特定の部位でのDNAの切断、(3)2つのDNA断片の再結合の3段階であり、これらの過程のいずれが欠損しても遺伝子再編成は起こらないと考えられる。研究代表者はまずシグナル配列を認識する核内因子に注目し,これを同定するための方法としてゲルシフト法を用いた。プロ-ブとして7bp、9bpの再編成シグナル配列が12bpあるいは23bpのスペ-サ-により隔てられた2本鎖DNA(それぞれ12RSS、23RSS)を合成して、その5'末端を^<32>Pで標識した。また前駆B細胞、B細胞、HcLa細胞、再編成異常と考えられる重症複合免疫不全症(SCID)、およびX染色体連座免疫不全症(XLA)患者細胞株から核抽出液を調整して上記プロ-ブを用いたゲルシフト法を行った。12RSS、23RSSともに結合因子を認めることができるが、その移動度が異なることからそれぞれに特異的な結合因子が存在すると思われる。また23RSS結合因子はどの細胞にも見出されたが12RSS結合因子はB細胞、HeLa細胞、SCID細胞には見られずSCIDが12RSS欠損である可能性が示唆された。現在入gt11発現ベクタ-を用いて12RSS結合因子の遺伝子単離を進めている。一方近年23RSS結合因子やこれらの再編成系を何らかの機構により調節していると考えられる因子の遺伝子がされいてる。XLA、SCID細胞でこれらの遺伝子の構造,もしくは発現が正常か否かを検討することは重要であることから、PCR法により対応する遺伝子を単離し、現在XLA、SCIDでの解析を進めている。
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[Publications] Y.ICHIHARA et al.: "Only DFL16,DSP2,and OQ52 gene families exist in mouse immunoglobulin heavy chain diversity gene loci,of which DFL16 and DSP2 originate from the same primordial DH gene" Eur.J.Immunol.19. 1849-1854 (1989)
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[Publications] H.ISHIGURO et al.: "Nucleotide sequrnce of Suncus murinus immunoglobulin u gene and comparison with mouse and human u genes" FEBS Letter. 247. 317-322 (1989)
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[Publications] T.ISHIHARA et al.: "Primary structure and transcriptional regulation of rat pepsinogen C gene" J.Biol.Chem.264. 10193-10199 (1989)