1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570289
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲益 建夫 九州大学, 医学部, 助教授 (70127976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石西 伸 九州大学, 医学部, 教授 (80037340)
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Keywords | エ-ムス試験 / 変異原性 / 人尿 / 妊婦 |
Research Abstract |
特異的な生理条件下にあると考えられる妊娠の尿について、その変異原性に関する特性を明らかにすることを目的として、妊娠34名、非妊婦14名の計48名の女性から個人別にそのスポット尿を採取し、Amestest法によりその変異原性を調べた。 これまでに報告されている尿の変異原性試験では、Yamasakiらによって考案されたXADー2樹脂カラムによる尿中変異原物質の吸着濃縮法が汎用されてきた。著者らもこの方法を追試したが、その際、Yamasakiらが溶出溶媒として用いていたアセトンをジクロルメタン(DCM)に替えることにより、変異原性試験におけるDoseーResponse 関係の直線性が、アセトンの場合に比べはるかに高濃度域まで広がることを見いだした。 この事からアセトンを用いて溶出した場合、変異原性を抑制する物質も合わせて溶出しているのではないかと考えられた。そこで、溶出を二段階とし最初にDCM、次いでアセトンで溶出し各分画の変異原性をみると共に、両分画の相互作用を調べた。更に、変異原物質であるB(a)Pに対するアセトン分画の相互作用も調べた。 アセトン分画の変異原性は、妊娠群と非妊婦群の間に殆ど差は見られなかったが、一方、DCM分画の方は、有意ではないが妊婦の方が高い傾向を示した。この事は、妊婦尿のクレアチニン量が非妊婦尿のそれに比べて低い傾向にあることから(図2)、妊婦の腎機能に変化を生じていることが考えられ、その変化が妊婦と非妊婦の尿の変異原性の差異を生じさせていると考えられる。 アセトン分画とDCM分画との相互作用、あるいはアセトン分画とB(a)Pとの相互作用の実験から得られた変異原性の抑制効果は、尿中に変異原性抑制する物質が存在することを示唆していると考えられ、その用機序を詳細に今後検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)