1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトDuchenne型進行性筋ジストロフィ-症の栄養学的研究
Project/Area Number |
01570292
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
山口 忠敏 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (80037598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 稔 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90039529)
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Keywords | チアミン / チアミンシリン酸 / チアミンミリン酸 / TDPkinase / TDP-bound protein / protein-binding TDP / ヒト赤血球 / 筋ジストロフィ-症 |
Research Abstract |
これまでの研究において、チアミンニリン酸(TDP)をリン酸化してチアミン三リン酸(TTP)を生成する酵素:TDPkinase(EC2,7,4,15)のヒト赤血球中の存在を示唆する種々の証拠を得ている。又、その存在の直接的証明のために精製法についても検討した。今年度はprotein-boundTDPを目印にした酵素の分離精製の方法(第61回日本生化学大会報告、1988年)に従って、三種のTDP-binding protein:Protein I(MW:125,000、pI値:7.0〜7.5)、Protein II(MW:86,000、pI値:5.0〜7.5)、Protein III(MW:86,000)を分離した。Protein Iの1モルに対しTDPの1/2モル、IIの1モルに対しTDPの1/4モルを検出した。Protein I、IIとIIIはSDS-gradient ployacrylamide gelを用いた電気泳動で各々異なるsubuintへの分離を示した。この三種のproteinの中にTDP kinase活性を有するものがあることを期待して、kinase活性発現状態の再構成を試みた。Protein I(0.393mg/30μl:25mM AcoNH_4)及びProtein II(0.486mg/70μl:25mM AcoNH_4)に、Proteinと等モル(2μM)のTDP、ATP、MgCl_2を添加し全量1.5ml(全血中に存在するNative TDP量の約20倍量濃度)にして、37℃で1時間incubationを行った。この溶液の一部を用いて、Freezing-thawingの処置前後のTTPの生成を検討したが、現条件下ではkinase活性を認めなかった。残りの溶液を用いて、Protein IとIIのTDPとの結合能を調べるために、平衡透析装置(今年度購入備品)を用い検討した。proteinに結合していない遊離のTDPを洗い出すために、25mMAcoNH_4で透析したところ、incubation前に結合していたTDPまでが解離溶出し不満足な結果に終った。一方、赤血球中のtransketolase(TK:分子量14万、pH6.6〜9.2間に6〜7種のpI値)はTDPを補酵素として糖の代謝系で作用する酵素としてすでに多くの報告がある。我々が追求しているTDPkinaseは、このTKと類似的分子量とpI値を有しており、TKのisozymeである可能性が生じた。そこでTKの活性染色法及びその他を比較した結果、TDPkinaseとTKは異なる酵素であると確認した。次年度はTDPkinaseの活性発現状態(holoenzyme)を再構成するために、阻害剤の添加実験あるいはcofactorの検索実験を行う。
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