1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトDuchenne型進行性筋ジストロフィ-症の栄養学的研究
Project/Area Number |
01570292
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
山口 忠敏 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (80037598)
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Keywords | TDP kinase / TDPーbinding protein / proteinーbound TDP / Duchenne型筋ジストロフィ- / 凍結ー融解処理 / チアミン三リン酸 / チアミン二リン酸 / ヒト赤血球 |
Research Abstract |
当研究の根幹をなすTDP kinaseの存在の証明のためにTDP kinaseの単離精製に多くの時間を費した。基質と推定されるproteinーbound TDPの検出をTDP kinase追跡の目印として分離操作を進め、各段階でHPLCによるTDPの検出及び電気泳動によるprotein bandの検出で、当初分子量125KDのprotein bandが目的とするTDP kinaseと推定されてきたが、酸化防止剤(dithiothreitol:DTT)の添加及び保存血より新鮮血への切替えで、最終分離段階で分子量を異にする三種に特定されて来た。繰返しの実験の結果、nonーdenatured gelで210,180,125KD SDS gelで85,38,30KD IEF gelでpI値4.7と5.0を各々認めた。単一proteinへの分離を検討中である。又、直接的にTDP kinaseの存在を追跡する目的で各分離段階のproteinにplasma(新鮮血から遠心分離して4℃保存したもの)を加え、凍結ー融解処理による活性の発現を期待したが第一段階の硫安塩析により得たproteinで既に失活を認めた。他方、これまで健常者の血液でのみ、凍結ー融解処理時におけるTDP kenase活性の比較を行ってきたので、今回DMD疾患者(n=9)について確めた。controlに同世代(n=9)を用い、TDP⇒TTPへの変化量をTDP kinase活性値とみなし、モル数%(TDP+TTP=100%)をもとに、処理前後の割合を求めた。処理前、control:TTP;17.4%,TDP;82.6,%患者:TTP;21.2%,TDP;78.8%で、これまでの結果同様に患者のTTP量が高値(P<0.05で有意差あり)を示した。処理後、control:TTP;27.4%,TDP;72.6%,患者:TTP;35.8%,TDP;64.2%で共にTTPの増加を示し、患者にもkinase活性の発現を認め、処理後のTTP量でも両者に有意差(P<0.05)を認めた。患者は処理前に既にTTP量が多いので、処理による活性発現はcontrolより低値であることが予想された。しかし、TTPの増加量はcontrol;10%,患者;14.5%を示し(P<0.05で有意差あり)た。このことはDMD患者におけるTTP生成機能はcontrolより抗進した状態であることを示している。TTP及び、TDP kinaseの筋ジストロフィ-症との関わりについては、さらに検討を続行している。
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