1989 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンAとその前駆体の経口摂取量と血中濃度との関係に及ぼす喫煙、飲酒の影響
Project/Area Number |
01570309
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
豊嶋 英明 新潟大学, 医学部, 教授 (10023657)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮西 邦夫 新潟大学, 医学部, 助手 (70018836)
林 千治 新潟大学, 医学部, 講師 (60198843)
|
Keywords | レチノビル / β-カロチン / 植物性ビタミンA摂取量 / 動物性ビタミンA摂取量 / 喫煙 / 飲酒 |
Research Abstract |
ビタミンAとその前駆体であるβ-カロチンの摂取量と血清濃度との関係に及ぼす喫煙、飲酒の影響について検討した。対象は昭和61年の新潟県民栄養調査時に喫煙、飲酒習慣並びに血清レチノ-ル濃度が求められた男性341人である。β-カロチン濃度は凍結保存(-80℃)血清からHPLC法により測定した。ビタミンA摂取量は2日間の聞き取り調査による食物摂取量から四訂食品成分表により動物性(主としてレマレチノ-ル)、植物性(主としてβ-カロチン)に分けて求めた。レチノ-ルとβ-カロチン濃度の平均値は各々75.7μg/dl、5.7μg/dlであり、動物性と植物性ビタミンAの摂取量平均値は各々573IU/日、1634IU/日であった。動物性ビタミンAと血清レチノ-ルの間に相関は認められず(r=-0.01)、植物性ビタミンAとβ-カロチンの間には有意の正相関(r=0.15,P<0.01)が認められた。対象者を非喫煙・非飲酒、非喫煙・飲酒、喫煙・非飲酒、喫煙・飲酒の4群に分け、レチノ-ル、β-カロチン、植物性ビタミンA摂取量の平均値を求めたところ、レチノ-ルは各群で67.6、77.4、66.5、81.8μg/dlであり、非喫煙群、喫煙群とも飲酒で増加し、喫煙・飲酒群で最高値を示した。β-カロチンは7.8、6.7、7.2、4.3μg/dlであり、飲酒群で低く、喫煙・飲酒群では最低値を示した。植物性ビタミンA摂取量には4時間で有意差がなかった。上記4群について、植物性ビタミンA摂取量とβ-カロチン濃度の関係を見たところ、非喫煙・非飲酒群では摂取量の増加と共にβ-カロチンは増加したが、他の3群ではこの関係は弱く、特に喫煙・飲酒群では摂取量に関わらずβカロチン濃度は一定かつ4群中最低であった。以上より、βカロチン(多分レチノ-ルも)の血清濃度の変化はその摂取量によらず、喫煙・飲酒の直接作用によると考えられた。
|
-
[Publications] 豊嶋英明他: "食餌、喫煙、飲酒とβ-カロチン、レチノ-ルの血中濃度" 病態生理. 9. (1990)
-
[Publications] 田辺直仁他: "血清レチノ-ル,βカロチン濃度に及ぼすその摂取量と喫煙、飲酒の影響" 日本衛生学雑誌(抄録集). 45. (1990)