1990 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健法による保健事業が国民健康保険の診療費に及ぼす影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
01570312
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 範幸 大阪大学, 医学部, 助手 (90207829)
新庄 文明 大阪大学, 医学部, 助手 (30154389)
黒田 研二 大阪大学, 医学部, 講師 (70144491)
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Keywords | 老人保健事業 / 一般診査受診率 / 国民健康保険 / 老人入院医療 / 1人当たり入院日数 / 1人当たり入院診療費 / 保健婦数 |
Research Abstract |
(1)目的:市町村において実施されている保健事業に対して一定の評価が可能となっていると判断される。そこで本研究では保健事業が診療費の抑制にとくに優れた影響を与えていると推測される藤枝市の保健事業の特徴、および老人医療の実績について分析を行ったので報告する。 (2)方法:対象地区の藤枝市(人口11.9万人)を訪問し、保健事業の特徴および老人医療の実績について第一次資料の確保を行った。 (3)結果:〈保健事業の特徴〉基本健康診査の実施に対し各地区から会場まで大型バスで送迎して、80.3%の受診率を達成している。健診結果は公民館、集会所等で3ー4人の保健婦が13ー15人の相談に個別に応じている。来所者は対象者の約76%である。健康教育は年700回実施している。保健委員として861名を各地区ごとに配置し、事業のリ-ダ-として活躍している。保健事業の実績は全てコンピュ-タ-による管理を行っている。〈老人医療の実績〉平成元年度における老人医療について入院は件数が4,755件、日数は95,305日、費用額は16億8485万円,入院外はそれぞれ109,405件、304,804日、20億1956万円であり、前年度に比べ費用額はそれぞれ11.9%、14.5%の増加であった。診療諸率については、入院については受診率が4.74、1人当たり診療費は201,345円、1人当たり日数は11.39日、1日当たり診療費は17,679、入院外についてはそれぞれ109.00、241,343円,36.42日、6,626円であった。1人当たり診療費は入院は県平均の93%、入院外は114%であった。入院では1日当たり診療費は県平均の114%であったので、この結果は1人当たり入院日数が大きく減少していることを示唆している。 (4)まとめ:藤枝市の保健事業は、多様かつユニ-クな方法で大きな実績があげられており、老人医療において1人当たり入院日数について減少の効果を生んでいると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 多田羅 浩三,他: "老人保健事業が老人入院医療に及ぼす影響に関する分析" 厚生の指標. 37(4). 23-30 (1990)
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[Publications] Kozo Tatara,et al: "Relation between use of health check ups by adults starting in middle age and demand for inpatient care by the elderly in Japan." British Medical Journal.
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[Publications] 厚生省大臣官房老人保健福祉部 老人保健課監修: "老人保健事業のすすめ方ー都市部における取り組みー" (株)ぎょうせい, 249 (1990)