1990 Fiscal Year Annual Research Report
保健指導の担い手と受け手の間での情報伝達活性化の研究ー伝達と指導の新方法の開発
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01570318
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
守山 正樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (10145229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 孝吉 長崎大学, 医学部, 助手
早田 みどり 放射線影響研究所, 長崎病理疫学部, 室長
松原 伸一 長崎大学, 教育学部, 助教授 (30165857)
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Keywords | 健康教育 / 顔グラフ / 構造化法 / 公衆衛生活動 / 情報伝達 |
Research Abstract |
初年度に試みた二つの方法を現場で使えるように改良し、その方法に見合った保健指導方法を検討した。 1現場で使える方法への改良:顔グラフ法、ISM法を地域保健の現場に持ち込む際の条件を検討した結果、コンピュ-タに依存しなくても使える方法が望ましいことが明らかになった。そこで当初の方針を変更し、手作業でも実行できる方法を模索した。ロ-ルプレイで実際の対話場面を再現しながら検討した結果、顔グラフの場合は、検査値に対応した顔の各造形の変化が数段階ですむなら、“紙に顔の輪郭を補助線で印刷しておく方式(手書き顔グラフ)"が適切であることがわかった。ISM法については、高齢者を対象とした健診でマトリックス法を使用した経験から、行動連鎖をマトリクスに直接記入する方法は時間がかかり、全体を見通しながら実行するのが困難なことがわかった。そこで各要素をカ-ドにする方式(保健行動構造化カ-ド)を採用した。 2新たな保健指導方法の開発:現場で情報伝達を活性化するための前提条件を探るため、血圧と血色素という基本的な健康情報に関し、保健指導の担い手の認識を調べた結果、担い手の属性によって認識が異なることが示された。保健指導の担い手と受け手の間に横たわる“認識の違いという壁"を乗り越えながら、情報伝達を活性化してゆくためには、保健指導の担い手が保健指導の場において、その場に最も適切な情報伝達の方法を自ら選択できる必要がある。また受け手である住民も、強制されることなく、自らの意志で自発的に健康教育に臨むことが望ましい。すでに開発した二つの方法(手書き顔グラフと構造化カ-ド)はこうした条件をある程度は満たしているが、完壁ではない。そこでさらに現場での実際の使用経験を分析した結果、(1)地域保健の現場で一人歩き出来る方法であること、(2)集団教育の場面でつかうこと、などの付加的な条件が明らかになった。
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[Publications] 守山 正樹: "保健行動のISM構造化" 電子情報通信学会技術研究報告. ET90ー29. 1-6 (1989)
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[Publications] MORIYAMA MASAKI: "HealthーRelated Behavior of People Living in a Community which experienced a Rapid Population Decrease" J.Human Ergol.18. 241-244 (1989)
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[Publications] 守山 正樹: "個人健康情報表示手段としての顔グラフの保健指導場面への導入の検討" 日本公衆衛生雑誌. 37. 406-412 (1990)
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[Publications] 守山 正樹: "保健行動の可視化・認識の試み" 日本公衆衛生雑誌. 37. 509-516 (1990)
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[Publications] 守山 正樹・松原 伸一: "対話からの地域保健活動ー健康教育情報学の試み" 篠原出版, 227 (1991)