1989 Fiscal Year Annual Research Report
日系移住者における寿命、疾病発癌と遺伝、地域的環境要因からみた比較血清疫学的研究
Project/Area Number |
01570320
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
赤松 隆 琉球大学, 医学部, 教授 (90045047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津金 昌一郎 国立がんセンター研究所, 疫学部, 室長 (40179982)
楠本 昌子 琉球大学, 医学部, 助教授 (80051564)
軍神 宏美 琉球大学, 医学部, 助手 (20205280)
等々力 英美 琉球大学, 医学部, 助手 (60175479)
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Keywords | 南米移住民 / 沖縄 / 比較血清疫学 / アミノ酸 / 健康指標 |
Research Abstract |
沖縄在住地域住民及び南米沖縄系移住者の住民検診から得られた生活調査や、血液・尿などの生体試料から求めた生体指標を測定して、遺伝的共通性が大きく環境条件の異なる両地域住民の健康状態を比較して、疾病発生の特性との関連を検討するために、比較血清疫学的検討を行っている。 現在の所、沖縄南部地域における住民検診より、血清検体を約3000名分(3年間分)、およびボリビアのサンタクルス市郊外のオキナワ移住地の住民約1000名分、同じくサンタクルス市郊外の九州(沖縄を除く)地域からの移住民約300名分の血清検体の収集を終了した。 次に、沖縄在住の地域住民と沖縄出身の移住者から得られた血清中遊離アミノ酸18種の測定をHPLC法を用いて行った。今回の対象者は40歳以上の受診者から、内科的診察で異常所見のないもので、検体の溶血のみられないものを対象とした。 HPLCの測定結果、両地域住民の血清中遊離アミノの平均値および標準偏差を比較すると、平均値においてトリプトファンを除く大半のアミノ酸において、沖縄の住民群の方が高い値を示した。 両地域のアミノ酸の平均値の相対比を求めてみると、グルタミン酸とオルニチン(2.86,2.38)以外のアミノ酸は1.6-1.9の範囲にあった。また、アミノ酸の特性ごとに中性、塩基性、酸性アミノ酸群に分類すると、いずれのアミノ酸群も沖縄地区の方が高い値を示した。以上の結果から両地区のアミノ酸値レベルに差違が見いだされ、この差が両地区の食生活並びに生活環境等の相違によるアミノ酸プ-ルの変化に起因しているものと推察された。さらに、今回の結果と他県出身の移住者地区住民の結果とを比較し、食事調査の結果および、その他の生化学指標とも合わせて比較検討する予定である。
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