1990 Fiscal Year Annual Research Report
胃がん集団検診デ-タの解析による胃癌の生長ダイナミックスの数理疫学的研究
Project/Area Number |
01570328
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
山口 直人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80119031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90038761)
吉村 健清 産業医科大学, 医学部, 教授 (20037435)
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Keywords | 胃癌 / がん検診 / 生長過程 / 数学モデル / 疫学 |
Research Abstract |
本研究の第一の成果は、胃癌の生長を連続的な過程として数学モデルによって表現する方法を確立したことである。生長の指標としては癌組織の長径を用いた。この方法によって、臨床症状の出現時期の推定や胃がん検診の発見率の推定などが可能であることが明かとなった。また、癌が指数関数的に生長すると仮定した場合の生長速度を推定する方法も開発した。この方法を用いて過去の胃がん検診受診歴の異なる419名の胃癌症例の長径の分布を比較解析した結果、胃がん検診の発見率(感度)が長径をxcmとした場合0.323x^2/(1+0.323x^2)で表されることが明かとなった。また、胃癌の生長をx=exp[βt]で表してβを推定した結果、0.239という結果を得た。長径の倍加時間として約3カ月という生長速度であった。研究の第二段階として、胃癌の罹患率を同様の数学モデルによって解析し、胃癌の生長が罹患率に及ぼす影響を検討した。胃癌の自然史のモデルとして、多段階モデルによる発癌過程とその後の指数関数的生長を仮定した。胃癌を組織型別にわけて分析した結果、胃癌の自然史が分化型と未分化型で異なることが明かとなった。これらの結果をふまえて研究の第三段階として、胃がん検診の感度等も分化度によって異なるか否かを検討した。未分化型胃癌は発見時の長径が分化型と比較して大きく、臨床症状の出現による発見のプロセスには違いのあることが示唆された。しかし、胃がん検診の感度は分化度によって変わらず、また、生長速度にも有意な差は認められなかった。今後、胃癌については全国規模のデ-タの解析を目指すとともに、他の臓器についても同様の分析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamaguchi,N.,et al.: "Use of tumor diameter to estimate the growth kinetics of cancer and sensitivity of screening tests." Environmental Health Perspectives. 87. 63-67 (1990)
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[Publications] Yamaguchi,N.,et al.: "Analysis of stomach cancer incidence by histologic subtypes based on a mathematical model of multistage cancer induction and exponential growth." Japanese Journal of Cancer Research. 81. 1109-1117 (1990)