1989 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤投与におけるラット心筋のミオシンアイソザイムの変化について
Project/Area Number |
01570335
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
藤谷 登 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10156888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 謙一 大阪大学, 医学部, 助手 (40166947)
的場 梁次 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (20107056)
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Keywords | Methamphetamino / Heart / Myosinisoenzyme |
Research Abstract |
慢性覚醒剤中毒者に認められる肥大・錯綜配列などの心病変の病因機序の解明の一つとして心筋ミオシンアイソザイムに注目し、ラットを用いて検討した。オス4週令Wister系ラットを購入し、1週間予備飼育の後実験に用いた。メタンフェタミンは体重当り1mg/kg、1日1回4週間(1週間に6回)皮下注射により投与した。生理食塩水のみを投与したものを対照とした。最終投与から2日後にネンブタ-ル麻酔下に心摘出し、心筋100〜150mgを細片にし、10倍量の抽出用バッファ-(100mM Na_4P_2O_5、5mMEGTA、2mM2-mercaptoetanal,pH8.8)中でホモジネ-トした後、48000g、3hr超遠心分離し、上清に同量のグリセロ-ルを加え試料とした。ミオシンアイソザイムの分離は、Hohらの方法に準じ、ピロリン酸バッファ-によるポリアクリルアミドディスク電気泳動法により行った。泳動後ゲルはCoomassie Brilliant Blueで染色し脱色後観察した。又、心筋の一部は光顕用試料として固定、包埋し、HE染色を行い組織学的に検討した。その結果、覚醒剤投与群と対照群のミオシンアイソザイムは、いずれもVI優勢を示し、両群に明らかな差は認められなかった。しかし、ミオシンATPase活性は覚醒剤投与群がわずかに高値を示した。そこでオス20週令WisterKY系を購入し、同様の実験を行い、アイソザイムパタ-ンをデンシドメトリ-で検出した。覚醒剤投与群はV1:59.33±4.16、V2:21.58±1.27、V3:18.9±2.90、対照群は各々55.32±6.33、V2:21.8±1.88、V3:22.76±5.44(%)であり、覚醒剤投与群は、対照群に比し、V1が増加しV3が減少する傾向を示した。又光顕による組織検査では、4週令Wister、20週令WisterKY系ラット覚醒剤投与群において、肥大、錯綜配列などの心病変が認められたものの20週令WisterKY系の方がその病変が軽度であった。今後、覚醒剤投与期間や週令を変化させ、更に検討する必要があると思われる。
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