1989 Fiscal Year Annual Research Report
autocrine系を介した新しい平滑筋細胞遊走因子の解析及び精製
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01570351
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森崎 信尋 千葉大学, 医学部, 助手 (40174411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 厚治 千葉大学, 医学部, 助手 (00150269)
斉藤 康 千葉大学, 医学部, 講師 (50101358)
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Keywords | 平滑筋細胞 / 遊走因子 / 血小板由来増殖因子 / fibronectin / 家兎 / ラット / 動脈硬化 |
Research Abstract |
家兎及びラット培養大動脈平滑筋細胞を使用して以下の成績を得た。 1.遊走系の確立:ラット平滑筋細胞を標的細胞とし、血小板由来増殖因子(PDGF)を用いて、Boyden-chamber法で細胞遊走の検討を行ったところ、1-10ng/mlの濃度域で容量依存的に遊走が見られた。2.ラット及び家兎の培養平滑筋細胞よりコンディションメディウム(CM)を採取し、平滑筋細胞に対する遊走刺激活性を検討したところ、容量依存的に遊走活性が見られた。最大活性は50%で見られ、PDGFのそれの数倍高かった。checker board analysisでこの遊走活性はPDGFと同様に方向性を持つchemotaxisであった。この因子を平滑筋細胞由来遊走因子(SDMF)と命名した。3.SDMFの性質:SDMFはゲルクロマトグラフィ-上440キロダルトンであった。酸や塩基、凍結-融解、還元処理に安定であり、分子量3500の膜によって透析されなかった。高熱処理、トリプシン処理によって失活した。4.PDGFとの異同:熱処理、還元処理による性質の違い、分子量の違いから、SDMFはPDGFと異なると推測されるが、抗PDGF抗体でその活性が抑制されなかったことから、免疫学的にも両者は異なる因子と考えられた。5.fibronectinとの異同:分子量的にSDMFとfibronectinは近いので、gelatinへの吸着、抗fibronectin抗体による抑制実験の結果SDMFはfibronectinとは異なる因子であると考えられた。更に他の低分子の遊走因子とも明らかに異なっていた。 以上の成績より、平滑筋細胞は自らに対する遊走因子SDMFをauto-crine系として分泌していること、SDMFは従来の遊走因子とは異なる新しい因子であることが推測された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森崎信尋: "平滑筋細胞の増殖の調節とその意義" Pharma Medica. 7. 67-72 (1989)
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[Publications] Yasushi Saito,Nobuhiro Morisaki,Noriyuki Koyama: "Autocrine System for Smooth Muscle Cell Migration and Proliferation in the Arterial Wall." New York Academy of Science.
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[Publications] 森崎信尋,小山則行,斉藤康,吉田尚: "大動脈平滑筋細胞由来の遊走および増殖因子" 臨床成人病.
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[Publications] 森崎信尋,小山則行,斉藤康,吉田尚: "大動脈平滑筋細胞由来の遊走及び増殖刺激因子-autocrine systemの関与について" 動脈硬化.
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[Publications] 森崎信尋,斉藤康: "平滑筋細胞と動脈硬化" 現代医療.
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[Publications] Noriyuki Koyama,Tomoko Koshikawa,Nobuhiro Morisaki,Yasushi Saito,Sho Yoshida: "Secretion of a potent new migration factor for smooth muscle cells(SMC)by cultured SMC" FEBS.