1989 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病心筋におけるカルシウムチャネル異常の分子機構とその臨床的意義
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01570357
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
柏木 厚典 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20127210)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性心筋障害 / 電位依存性カルシウムチャネル / 糖尿病性筋萎縮 / カルシウム調節異常 / 細胞内遊離カルシウムイオン / ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル / 赤筋と白筋 |
Research Abstract |
糖尿病心筋細胞における心筋細胞障害機序としての心筋細胞内カルシウム調節異常に基づく細胞内遊離カルシウムイオンの増加を明らかにするために、心筋内電位依存性カルシウムチャネル(vocc)の増加を検討した。(1)糖尿病ラット心筋細胞膜分画へのジヒドロピリジン系voccを(^3HNP_<200-110>結合にて測定したところ、糖尿病動物心筋細胞膜vocc数は61%増加していた。この変化は糖尿病発症6週間以後に出現し、2週間のインスリン治療では正常化しなかったが、8週間治療により改善していた。更に(^3H)PN_<200-110>結合のベラパミル(フェニルアルキルアミン系vocc拮抗薬)による拮抗阻害は糖尿病心筋で低下していたことによりvoccの質的異常が示唆された。これらの結果は糖尿病32巻683、1989に報告し、又糖尿病心筋障害に関する国際シンポジウムで発表した。(1)一方骨格筋の細胞膜分画への(^3H)PN_<200-110>結合数は赤筋(ヒラメ筋)と白筋では異なりヒラメ筋のチャネル数は腸腰筋のそれの16%であり、また腓腹筋のそれの27%であった。糖尿病心筋では両種類の筋とも30〜50%の増加を示した。この骨格筋におけるvoccの生理的意義は不明であるが、糖尿病患者において認められる筋萎縮即ち“diabetic amyotrophy"との関係が考えられ興味深い。事実糖尿病ラットヒラメ筋内カルシウム含量は対照に比し有意に増加していた。(3)カルシウム拮抗薬によるカルシウムチャネル是正を検討したが、今後の課題:1)心筋細胞内ミトコンドリア、小胞対内カルシウム含量の増加及び遊離カルシウムイオンの増加の測定のためのElectron probe X-ray microanalysisの方法を検討している。2)単離心筋細胞への^<45>Ca取り込み測定。3)カルシウム拮抗薬としてベラパミルの投与を行い、チャネルタンパク質の変動と心筋障害の関係を検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 柏木厚典他: "ストレプトゾトシン糖尿病ラット心筋膜電位依存性カルシウムチャネル異常" 糖尿病. 32. 683-685 (1989)
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[Publications] A,Kashiwagi et al.: "Plasma membraneーspecific dificiency in cardiac βーadrenergic receptor in streptozocenーdiabetic rats" American Journal of Phyoiology. 257. E127-E132 (1989)
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[Publications] A,Kashiwagi et al.: "Increase in Voltageーsensitive calcium channel of cardiac and Skeletal musde in streptozocinーinduced diabetic rats" Proceeding of International Symposium on the diahetic heart. (1990)
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[Publications] Y.Sigeta: "Pathophysiological mechanism of defecfive inotropic response to a βーadrenergic agonist in diabetic heart." Proceeding of International Symposium on the diabetic heart. (1990)
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[Publications] A.Kashiwagi: "Frequency and rsk factors of congestive hearts failure in diabetic patients" Current status of Prevention and treatment of diabetic complications. 603-607 (1990)
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[Publications] Y.Nishino et al.: "An Increase in 〔^3H〕PN200ー110 binding to cardiac muscle.membrane in streptozocinーinduced diabetic rats" Diabetes.
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[Publications] 柏木厚典,紀田康雄,西尾善彦,児玉光顕,阿部奈々美,小川勉,朝比奈崇介,池淵元祥,繁田幸男: "糖尿病性合併症ーMacroangiopathyー糖尿病性壊疽患者における下肢動静脈酸素含有較差測定の臨床的意義" メディカル・ジャ-ナル社, 314-320 (1989)